[コラム] [猫学]猫あるある〈中〉――ハニーのナワバリに住む私
科学部 宮沢輝夫 猫を飼っているつもりでも、猫のほうは飼われているつもりはないのでは――。わが家のハニーをみていると、そんな疑念にかられることがあります。ハニーにとって私の自宅は自分のナワバリで、そのナワバリに住まわせてもらっているのが私、という位置づけなのではないか、と。無言の圧力「早くご飯出してよ」自動給餌機の前で座り込みをするハニー ある朝、息苦しさで目を開けると、胸元に座ったハニーが私を見下ろしています。こうなると起きざるを得ません。 ハニーは長い尾をぴんと立て、ダイニングルームに向かいます。チラッとこちらを振り返りながら、小旗を手にした添乗員よろしく、こっちですよと誘導するのです。 そして、ハニーは自動給餌機の前にきちんと足をそろえて座ります。あと30分もすれば、〈ハニー、ご飯だよ!〉という自動音声とともに、フードがコロコロコロッと出てくるのですが……。ちなみにこの音声は、自動給餌機の機能の一つで、私が吹き込んだもの。 自動給餌機の前で座り込みを続けるハニー。その姿に無言の圧力を感じ、私はつい手動でフードを出してしまうのです。これではタイマーを設定している意味がありません。ご飯を出してと目で訴えるハニー 座り込み中のハニーを無視し続けると、どうなるか。ハニーは顔だけこちらに向けて、「早く出してよ」と、こちらをガン見して圧力をかけてきます。 目が合ったら最後、私はフードを出さざるを得なくなります。無視すれば、ハニーにいじわるしているような気分になるからです。次のページ 試される私…紙類や観葉植物にかみついて八つ当たり>> 1 2
猫を飼っているつもりでも、猫のほうは飼われているつもりはないのでは――。わが家のハニーをみていると、そんな疑念にかられることがあります。ハニーにとって私の自宅は自分のナワバリで、そのナワバリに住まわせてもらっているのが私、という位置づけなのではないか、と。
無言の圧力「早くご飯出してよ」
ある朝、息苦しさで目を開けると、胸元に座ったハニーが私を見下ろしています。こうなると起きざるを得ません。
ハニーは長い尾をぴんと立て、ダイニングルームに向かいます。チラッとこちらを振り返りながら、小旗を手にした添乗員よろしく、こっちですよと誘導するのです。
そして、ハニーは自動給餌機の前にきちんと足をそろえて座ります。あと30分もすれば、〈ハニー、ご飯だよ!〉という自動音声とともに、フードがコロコロコロッと出てくるのですが……。ちなみにこの音声は、自動給餌機の機能の一つで、私が吹き込んだもの。
自動給餌機の前で座り込みを続けるハニー。その姿に無言の圧力を感じ、私はつい手動でフードを出してしまうのです。これではタイマーを設定している意味がありません。
座り込み中のハニーを無視し続けると、どうなるか。ハニーは顔だけこちらに向けて、「早く出してよ」と、こちらをガン見して圧力をかけてきます。
目が合ったら最後、私はフードを出さざるを得なくなります。無視すれば、ハニーにいじわるしているような気分になるからです。
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