訪中プーチン氏、米国批判一段と 欧米対抗軸づくり急ぐ

18日、プーチン大統領は中ロ首脳会談終了後に北京で記者会見した=APロシアのプーチン大統領は18日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と北京で中ロ首脳会談を開いた。プーチン氏は会談後の記者会見で、パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスとイスラエルとの衝突を巡って米国への批判を強めた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」首脳会議参加国の首脳とも相次ぎ会談し、欧米陣営への対抗軸づくりを急いでいる。ロシア大統領府によると、プーチン氏は会談後の記者会見でパレスチナ問題に関連して「米国のようにパレスチナ人の運命に関わる問題を経済援助に置き換えることは不可能だ」などと述べた。ウクライナ侵攻などを巡って対立する米国の中東政策を改めて批判したかたちだ。ロシアはパレスチナ国家の樹立を通じたイスラエルとの「2国家共存」を支持し、即時停戦を訴えている。ハマスを非難せず、ソ連時代から関係の深いアラブ諸国からの支持を得る狙いがあるとみられる。ウクライナ侵攻を巡って国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出した3月以降、プーチン氏が旧ソ連圏以外に外遊するのは今回の訪中が初めて。背景には中国との関係を一段と強めたいロシアの思惑がにじむ。主要7カ国(G7)などがロシア産原油の取引価格に上限を設ける制裁を発動し、ロシアの石油・ガス収入は23年1〜9月で前年同期比35%減となるなど経済制裁による打撃を受けている。代替先としてロシアは中国やインドへの輸出を増やしてきた。中国とは、ロシアからモンゴル経由で天然ガスを供給する新たなパイプライン「シベリアの力2」などの計画にも取り組んでいる。外交面でも中国に同調する動きが目立っている。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて、ロシア農業省傘下の動植物検疫監督庁は16日、予防措置として同日から日本産水産物の輸入を制限すると発表した。プーチン氏は今回の訪中直前となる16日にはエジプトのシシ大統領、シリアのアサド大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと電話協議し、紛争拡大への懸念を表明した。その後にイスラエルのネタニヤフ首相とも電話協議し、民間人を犠牲にする軍事行動などへの非難を表明。アッバス氏らとの協議の要旨を伝えた。「多極的な世界秩序の推進」を訴えるプーチン氏は米国など欧米諸国に対抗し、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)やグローバルサウ

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訪中プーチン氏、米国批判一段と 欧米対抗軸づくり急ぐ

ロシアのプーチン大統領は18日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と北京で中ロ首脳会談を開いた。プーチン氏は会談後の記者会見で、パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスとイスラエルとの衝突を巡って米国への批判を強めた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」首脳会議参加国の首脳とも相次ぎ会談し、欧米陣営への対抗軸づくりを急いでいる。

ロシア大統領府によると、プーチン氏は会談後の記者会見でパレスチナ問題に関連して「米国のようにパレスチナ人の運命に関わる問題を経済援助に置き換えることは不可能だ」などと述べた。ウクライナ侵攻などを巡って対立する米国の中東政策を改めて批判したかたちだ。

ロシアはパレスチナ国家の樹立を通じたイスラエルとの「2国家共存」を支持し、即時停戦を訴えている。ハマスを非難せず、ソ連時代から関係の深いアラブ諸国からの支持を得る狙いがあるとみられる。

ウクライナ侵攻を巡って国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出した3月以降、プーチン氏が旧ソ連圏以外に外遊するのは今回の訪中が初めて。背景には中国との関係を一段と強めたいロシアの思惑がにじむ。

主要7カ国(G7)などがロシア産原油の取引価格に上限を設ける制裁を発動し、ロシアの石油・ガス収入は23年1〜9月で前年同期比35%減となるなど経済制裁による打撃を受けている。代替先としてロシアは中国やインドへの輸出を増やしてきた。中国とは、ロシアからモンゴル経由で天然ガスを供給する新たなパイプライン「シベリアの力2」などの計画にも取り組んでいる。

外交面でも中国に同調する動きが目立っている。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて、ロシア農業省傘下の動植物検疫監督庁は16日、予防措置として同日から日本産水産物の輸入を制限すると発表した。

プーチン氏は今回の訪中直前となる16日にはエジプトのシシ大統領、シリアのアサド大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと電話協議し、紛争拡大への懸念を表明した。その後にイスラエルのネタニヤフ首相とも電話協議し、民間人を犠牲にする軍事行動などへの非難を表明。アッバス氏らとの協議の要旨を伝えた。

「多極的な世界秩序の推進」を訴えるプーチン氏は米国など欧米諸国に対抗し、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)やグローバルサウスとの協力拡大を呼びかけてきた。

今回のプーチン氏の訪中では17日にモンゴルのフレルスフ大統領、ラオスのトンルン・シスリット国家主席、タイのセター首相らとも相次ぎ会談し、国際情勢や2国間の協力について意見を交換した。

プーチン氏は会見で中東危機などを含む外的な紛争がロシアと中国の関係に与える影響について「共通の脅威はロシアと中国の関係強化につながる」と強調した。

対米連携を強めるロシアと中国が安全保障面での協力を一段と深めるかが今後の焦点になる。

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