[サッカー女子ワールドカップ] なでしこ植木理子が４年前の「涙」振り払うゴール…けが負い離脱、１週間Ｗ杯の夢見続ける

　【ウェリントン（ニュージーランド）＝平沢祐】３１日のサッカー女子Ｗ杯の１次リーグ最終戦で、４－０とゴールラッシュで強豪スペインを撃破したなでしこジャパン。今大会初先発の植木理子選手（２４）が、貴重な２点目をたたき出した。４年前の苦い思いを振り払うように躍動し、「こんなにすてきな場所で、すてきな仲間とプレーできて本当にうれしい」と喜びをかみしめた。２９分、チーム２点目となるゴールを決める植木〈９〉（３１日）＝桐山弘太撮影　１点リードの２９分、速攻を仕掛けた味方からパスを受けた植木選手は、「自分の得意な場所だったので、迷わずいった」。倒れ込みながら右足を振り抜いたシュートは、相手選手に当たりながらもゴールに吸い込まれ、両腕を広げてガッツポーズを作った。 　２０１９年の前回Ｗ杯フランス大会は、１９歳でメンバー入りを果たした。しかし、右膝を痛めて万全な状態でないまま現地入り。数日後、チームからの離脱が決まった。　ホテルのテラスで泣きながら親に電話した。主将の熊谷紗希選手（３２）らが部屋に来て「また一緒に頑張ろう」と励ましてくれたが、涙は止まらなかった。２９分、チーム２点目となるゴールを決めて喜ぶ植木選手（３１日、ニュージーランド・ウェリントンで）＝桐山弘太撮影　それから１週間、Ｗ杯の夢を見続けたことを、今でも覚えている。けがをしたのがなぜ自分だったんだろう、どうして今なんだろう――。目が覚めたら、涙が頬を伝っていた。　自分自身より重いけがから復帰を目指して日々努力を続ける先輩らの姿に刺激を受け、「自分はまだ何も成し遂げていない。腐ってる場合じゃない」と奮い立ち、リハビリに励んだ。復帰後、ガッツあふれるプレーはさらに磨きがかかった。２２～２３年シーズンのＷＥリーグ得点王に輝き、自らの手でＷ杯切符を引き寄せた。　７月３０日に誕生日を迎え、自らを祝う２４歳初ゴールに、「本当に４年間頑張って良かった」。あの時の涙は、この大会で輝くためのものと信じている。