ニジェール政変、周辺国や欧米が圧力 市民反発

クーデターを支持するデモ参加者が仏大使館前に押し寄せた(30日、ニアメー)=ロイター【カイロ=久門武史】クーデターが起きた西アフリカのニジェールに対し、地域の15カ国が加わる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は30日、資産凍結などの制裁を発表した。フランスなど欧米も援助停止で圧力をかけ、憲法秩序の回復を求めた。ニジェールのクーデター支持者は反発を強めている。ECOWASは30日に臨時首脳会議を開き、ニジェールのクーデター部隊に1週間以内にバズム大統領に権力を返還するよう求めた。従わなければ「軍事力の行使」も選択肢だとした。加盟国とニジェールとの陸路・空路の閉鎖も発表した。旧宗主国フランスの外務省は29日「ニジェールへの開発援助と財政支援を即時停止する」と表明し、バズム氏の職務復帰を求めた。ニジェールの首都ニアメーでは30日、数千人がクーデターを支持するデモを実施し、一部はフランス大使館前に押し寄せて抗議しドアに放火した。欧州連合(EU)もニジェールへの財政支援や安全保障分野の協力を即時停止した。ブリンケン米国務長官は29日「ニジェールとの経済・安保協力は、民主的統治と憲法秩序が続くかによる」と述べた。数億ドル規模の支援が「危険にさらされている」と停止を警告した。クーデター部隊は31日、政変で失脚したバズム政権のマスドゥ外相が、大統領府にいるバズム氏を救出するためフランスに攻撃を許可したと主張した。ロイター通信が伝えた。フランスは軍事介入の可能性には言及していない。隣国チャドのデビ暫定大統領は30日、ニアメーを訪れバズム氏と面会したとし、2人が並んだ写真を投稿した。デビ氏は大統領警護隊トップのチアニ将軍とも会談したといい、話し合いで解決を探る動きも出ている。ニジェールでは26日、反乱軍が親欧米のバズム大統領を追放し、28日にチアニ氏が国家元首就任を宣言した。かねてバズム氏がチアニ氏を更迭しようとし確執があったとの見方がある。ニジェールはサハラ砂漠の南縁のサヘル地域にあり、国境地帯ではイスラム過激派が暗躍する。バズム政権は欧米と良好な関係を築き、米国やフランスはニジェールに部隊を駐留させ過激派対策の拠点としてきた。政変後の体制がロシアに接近する可能性がある。西側との協力が崩れると、サヘル地域の過激派対策がいっそう滞りかねない。隣国マリやブルキナファソではクーデター

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ニジェール政変、周辺国や欧米が圧力 市民反発

【カイロ=久門武史】クーデターが起きた西アフリカのニジェールに対し、地域の15カ国が加わる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は30日、資産凍結などの制裁を発表した。フランスなど欧米も援助停止で圧力をかけ、憲法秩序の回復を求めた。ニジェールのクーデター支持者は反発を強めている。

ECOWASは30日に臨時首脳会議を開き、ニジェールのクーデター部隊に1週間以内にバズム大統領に権力を返還するよう求めた。従わなければ「軍事力の行使」も選択肢だとした。加盟国とニジェールとの陸路・空路の閉鎖も発表した。

旧宗主国フランスの外務省は29日「ニジェールへの開発援助と財政支援を即時停止する」と表明し、バズム氏の職務復帰を求めた。ニジェールの首都ニアメーでは30日、数千人がクーデターを支持するデモを実施し、一部はフランス大使館前に押し寄せて抗議しドアに放火した。

欧州連合(EU)もニジェールへの財政支援や安全保障分野の協力を即時停止した。ブリンケン米国務長官は29日「ニジェールとの経済・安保協力は、民主的統治と憲法秩序が続くかによる」と述べた。数億ドル規模の支援が「危険にさらされている」と停止を警告した。

クーデター部隊は31日、政変で失脚したバズム政権のマスドゥ外相が、大統領府にいるバズム氏を救出するためフランスに攻撃を許可したと主張した。ロイター通信が伝えた。フランスは軍事介入の可能性には言及していない。

隣国チャドのデビ暫定大統領は30日、ニアメーを訪れバズム氏と面会したとし、2人が並んだ写真を投稿した。デビ氏は大統領警護隊トップのチアニ将軍とも会談したといい、話し合いで解決を探る動きも出ている。

ニジェールでは26日、反乱軍が親欧米のバズム大統領を追放し、28日にチアニ氏が国家元首就任を宣言した。かねてバズム氏がチアニ氏を更迭しようとし確執があったとの見方がある。

ニジェールはサハラ砂漠の南縁のサヘル地域にあり、国境地帯ではイスラム過激派が暗躍する。バズム政権は欧米と良好な関係を築き、米国やフランスはニジェールに部隊を駐留させ過激派対策の拠点としてきた。政変後の体制がロシアに接近する可能性がある。西側との協力が崩れると、サヘル地域の過激派対策がいっそう滞りかねない。

隣国マリやブルキナファソではクーデターで軍事政権が発足し、ロシア寄りの姿勢を強めている。ロシアが政変の混乱を利用してニジェールにも足場を築けば、アフリカでの勢力圏がさらに広がる。欧米の影響力が低下するだけでもロシアには得点となる。

ニジェールは内陸国で人口約2600万人。1960年にフランスから独立した。農牧業とウラン生産が経済の柱になっている。

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