出前館、22年9月〜23年5月の最終赤字106億円 広告削減

出前館の22年9月〜23年5月期連結決算は赤字幅が縮小した出前館が12日発表した2022年9月〜23年5月期連結決算は最終損益が106億円の赤字(前年同期は295億円の赤字)だった。同期間での最終赤字は5期連続となる。広告宣伝費や配達員の報酬を含む売上原価を大幅に削減しコストを圧縮したことで赤字幅が縮小した。だが足元では巣ごもり需要の一巡で注文数や利用者が減少傾向で、黒字化の道筋はまだ見通せない。営業損益は107億円の赤字(前年同期は296億円の赤字)だった。3月までに自前の配達拠点を全て閉鎖したほか、コールセンターの集約で固定費などを抑えた。サービスの認知度は一定水準まで高まったと判断し、テレビCMなどの広告を抑制した。これまで重荷となっていた広告宣伝費や人件費を削減。赤字幅の縮小につながった。売上高は10%増の384億円だった。1年に1回以上サービスを利用した人の数を示す「アクティブユーザー数」は5月末時点で19%減の712万人だった。経済再開で外食機会が増えて配達件数は減少傾向にあるが、手数料収入が相対的に高い配達代行の比率が高まったことが売上高を押し上げた。加盟する飲食店や小売店から出前館が配達まで請け負う「配達代行」の比率は、注文全体のうち2割(20年9〜11月期)だったのが、5月末時点で6割まで高まった。手数料は加盟店が自分で配達する場合は代金の10%で、出前館による配達代行の場合は35%に上がる。同社は8月1日、配達員に支払う基本報酬を配達1件当たり一律400円に引き下げる。これまでは550〜600円としていた。報酬は基本分と変動分で決まるため、総額が一律で減額となる訳ではないが、一部で反発の声も出ている。同社は「配達委託料の見直しでコストの適正化につなげる」としている。23年8月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比6%増の500億円、最終損益は169億円の赤字(前期は362億円の赤字)を見込む。藤井英雄社長は12日に開いた決算説明会で「料理宅配の利用は一巡したとみている。(スーパーやドラッグストアなど)飲食店以外の物品の取り扱いを増やして利用拡大を促していく」と話した。同社は固定費の削減をさらに進め、配達効率を改善し25年8月期の黒字転換を目指すとしている。消費者の外食回帰や高まる節約志向は向かい風だ。赤字体質からの脱却に向けてはなお難しいか

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出前館、22年9月〜23年5月の最終赤字106億円 広告削減

出前館が12日発表した2022年9月〜23年5月期連結決算は最終損益が106億円の赤字(前年同期は295億円の赤字)だった。同期間での最終赤字は5期連続となる。広告宣伝費や配達員の報酬を含む売上原価を大幅に削減しコストを圧縮したことで赤字幅が縮小した。だが足元では巣ごもり需要の一巡で注文数や利用者が減少傾向で、黒字化の道筋はまだ見通せない。

営業損益は107億円の赤字(前年同期は296億円の赤字)だった。3月までに自前の配達拠点を全て閉鎖したほか、コールセンターの集約で固定費などを抑えた。

サービスの認知度は一定水準まで高まったと判断し、テレビCMなどの広告を抑制した。これまで重荷となっていた広告宣伝費や人件費を削減。赤字幅の縮小につながった。

売上高は10%増の384億円だった。1年に1回以上サービスを利用した人の数を示す「アクティブユーザー数」は5月末時点で19%減の712万人だった。

経済再開で外食機会が増えて配達件数は減少傾向にあるが、手数料収入が相対的に高い配達代行の比率が高まったことが売上高を押し上げた。

加盟する飲食店や小売店から出前館が配達まで請け負う「配達代行」の比率は、注文全体のうち2割(20年9〜11月期)だったのが、5月末時点で6割まで高まった。手数料は加盟店が自分で配達する場合は代金の10%で、出前館による配達代行の場合は35%に上がる。

同社は8月1日、配達員に支払う基本報酬を配達1件当たり一律400円に引き下げる。これまでは550〜600円としていた。報酬は基本分と変動分で決まるため、総額が一律で減額となる訳ではないが、一部で反発の声も出ている。同社は「配達委託料の見直しでコストの適正化につなげる」としている。

23年8月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比6%増の500億円、最終損益は169億円の赤字(前期は362億円の赤字)を見込む。

藤井英雄社長は12日に開いた決算説明会で「料理宅配の利用は一巡したとみている。(スーパーやドラッグストアなど)飲食店以外の物品の取り扱いを増やして利用拡大を促していく」と話した。

同社は固定費の削減をさらに進め、配達効率を改善し25年8月期の黒字転換を目指すとしている。消費者の外食回帰や高まる節約志向は向かい風だ。赤字体質からの脱却に向けてはなお難しいかじ取りが続く。

(佐藤優衣)

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