[国際] 台湾憲兵隊を1万人超に倍増、中国の「斬首作戦」に対抗…総統らの殺害計画に備え

 【台北=園田将嗣】台湾紙・自由時報など複数の台湾メディアによると、国防部(国防省)は来年から、憲兵隊を現在の5600人から1万1000人に増員し、総統府がある台北市を守る202司令部の大隊を一つ増設する。中国が台湾への軍事的な威圧を強める中、中国軍による要人殺害を意図した「斬首作戦」に対し、備えを万全にする狙いがある。台湾総統府 憲兵隊は総統や副総統らの警護、空港や主要駅などの重要施設の警備、治安維持を担う。敵に対抗するため、拳銃だけでなく、機関銃や迫撃砲も装備している。  中国は近年、頻繁に軍用機や艦艇を台湾周辺に派遣し、中台間の緊張が高まっている。台湾有事となり、軍事力で勝る中国軍が台湾軍の防衛線を突破すれば、重要施設が多い市街地での戦闘は避けられない。指導者らを暗殺するなどして、社会の混乱を誘う斬首作戦への懸念も強まっている。 中国軍に詳しい台湾の調査研究機関「国家政策研究基金会」の掲仲・副研究員は、「中国軍が大量のヘリコプターで兵士を台北市に移送し、市街戦が起きる可能性がある。憲兵隊の強化が必要だ」と話す。 中台の軍事に詳しい拓殖大海外事情研究所の門間理良教授によると、中国が公式に斬首作戦に言及したことはないが、国営新華社通信(電子版)は過去に、中国軍の「斬首行動」の訓練を報じている。 ロシアのプーチン政権はウクライナへの侵略で、当初は首都キーウの陥落を目指し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の暗殺を幾度も試みたとされる。こうした事態も踏まえ、憲兵隊の増強が欠かせないと判断したとみられる。 国防部は、憲兵隊の訓練を強化している。年に1度の大規模軍事演習「漢光」で、2020年に総統と副総統が中国軍に急襲される想定を取り入れた。今年は乗客を装った中国軍が台北駅を制圧し、利用者を誘拐する設定で訓練を行った。国防部は「敵の脅威を考慮し、持続可能な戦闘力を確立するため、兵力の構成を調整してきた」という。

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[国際] 台湾憲兵隊を1万人超に倍増、中国の「斬首作戦」に対抗…総統らの殺害計画に備え

 【台北=園田将嗣】台湾紙・自由時報など複数の台湾メディアによると、国防部(国防省)は来年から、憲兵隊を現在の5600人から1万1000人に増員し、総統府がある台北市を守る202司令部の大隊を一つ増設する。中国が台湾への軍事的な威圧を強める中、中国軍による要人殺害を意図した「斬首作戦」に対し、備えを万全にする狙いがある。

台湾総統府
台湾総統府

 憲兵隊は総統や副総統らの警護、空港や主要駅などの重要施設の警備、治安維持を担う。敵に対抗するため、拳銃だけでなく、機関銃や迫撃砲も装備している。

 中国は近年、頻繁に軍用機や艦艇を台湾周辺に派遣し、中台間の緊張が高まっている。台湾有事となり、軍事力で勝る中国軍が台湾軍の防衛線を突破すれば、重要施設が多い市街地での戦闘は避けられない。指導者らを暗殺するなどして、社会の混乱を誘う斬首作戦への懸念も強まっている。

 中国軍に詳しい台湾の調査研究機関「国家政策研究基金会」の掲仲・副研究員は、「中国軍が大量のヘリコプターで兵士を台北市に移送し、市街戦が起きる可能性がある。憲兵隊の強化が必要だ」と話す。

 中台の軍事に詳しい拓殖大海外事情研究所の門間理良教授によると、中国が公式に斬首作戦に言及したことはないが、国営新華社通信(電子版)は過去に、中国軍の「斬首行動」の訓練を報じている。

 ロシアのプーチン政権はウクライナへの侵略で、当初は首都キーウの陥落を目指し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の暗殺を幾度も試みたとされる。こうした事態も踏まえ、憲兵隊の増強が欠かせないと判断したとみられる。

 国防部は、憲兵隊の訓練を強化している。年に1度の大規模軍事演習「漢光」で、2020年に総統と副総統が中国軍に急襲される想定を取り入れた。今年は乗客を装った中国軍が台北駅を制圧し、利用者を誘拐する設定で訓練を行った。国防部は「敵の脅威を考慮し、持続可能な戦闘力を確立するため、兵力の構成を調整してきた」という。

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