ファストリ、値上げが浸透 23年8月期は営業最高益に

ファーストリテイリングファーストリテイリングは13日、2023年8月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比24%増の3700億円になりそうだと発表した。過去最高益となる21%増の3600億円を見込んでいた従来予想をさらに上回る。国内の外出需要の回復を受け機能性の高い衣料で値上げが浸透し、海外事業も下支えする。売上高に当たる売上収益は19%増の2兆7300億円、純利益は5%減の2600億円と、それぞれ500億円、200億円上方修正した。期末配当は155円(前の期は113.33円)と従来から30円引き上げた。主力の国内ユニクロ事業は、新型コロナウイルス感染症の5類移行などで外出機会が増える中で価格転嫁が浸透。秋冬商品で約2割、春夏で一部商品を値上げし、22年9月〜23年5月期の既存店売上高(直営店、電子商取引=EC含む)は前年同期から8.6%増えた。客単価は10.9%上昇し、客数の減少(2.1%減)を補った。調査会社のインテージ(東京・千代田)の23年6月の調査によると、「普段用の洋服や靴」を節約していると答えた人は全体の18%と前年から4.2ポイント増えた。消費者の節約志向は高いものの、ユニクロはUVカット機能を加えたジャケットといった機能性を高めた商品の値上げが奏功した。岡崎健最高財務責任者(CFO)は13日の記者会見で「価格とデザイン、素材のニーズが合っているものは、価格が上がっても売り上げが伸びている」と述べた。23年の秋冬商品の一部についても値上げする方針だ。22年9月〜23年5月の国内ユニクロの事業利益は為替の円安に伴う仕入れコスト増で減益だが、通期では前年並みを見込む。第3四半期決算について説明するファーストリテイリングの岡崎健CFO(13日、東京都港区)海外ユニクロ事業は中国事業が復調し、東南アジアもけん引役に育っている。岡崎氏は「値上げは海外の方が先行してきたし、受け入れられている」と話す。JPモルガン証券の村田大郎氏は「中国一本足打法だったが、東南アジアや北米、欧州事業が伸長し、安定的に成長できる体制が整ってきた」と言う。海外のアパレル大手の業績は明暗が分かれている。「ZARA」を手掛けるスペインのインディテックスは23年2〜4月期の純利益が5割増。季節商品の入れ替えのたびにコストの価格転嫁を進めてきた。一方、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッ

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ファストリ、値上げが浸透 23年8月期は営業最高益に

ファーストリテイリングは13日、2023年8月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比24%増の3700億円になりそうだと発表した。過去最高益となる21%増の3600億円を見込んでいた従来予想をさらに上回る。国内の外出需要の回復を受け機能性の高い衣料で値上げが浸透し、海外事業も下支えする。

売上高に当たる売上収益は19%増の2兆7300億円、純利益は5%減の2600億円と、それぞれ500億円、200億円上方修正した。期末配当は155円(前の期は113.33円)と従来から30円引き上げた。

主力の国内ユニクロ事業は、新型コロナウイルス感染症の5類移行などで外出機会が増える中で価格転嫁が浸透。秋冬商品で約2割、春夏で一部商品を値上げし、22年9月〜23年5月期の既存店売上高(直営店、電子商取引=EC含む)は前年同期から8.6%増えた。客単価は10.9%上昇し、客数の減少(2.1%減)を補った。

調査会社のインテージ(東京・千代田)の23年6月の調査によると、「普段用の洋服や靴」を節約していると答えた人は全体の18%と前年から4.2ポイント増えた。消費者の節約志向は高いものの、ユニクロはUVカット機能を加えたジャケットといった機能性を高めた商品の値上げが奏功した。

岡崎健最高財務責任者(CFO)は13日の記者会見で「価格とデザイン、素材のニーズが合っているものは、価格が上がっても売り上げが伸びている」と述べた。23年の秋冬商品の一部についても値上げする方針だ。22年9月〜23年5月の国内ユニクロの事業利益は為替の円安に伴う仕入れコスト増で減益だが、通期では前年並みを見込む。

海外ユニクロ事業は中国事業が復調し、東南アジアもけん引役に育っている。岡崎氏は「値上げは海外の方が先行してきたし、受け入れられている」と話す。JPモルガン証券の村田大郎氏は「中国一本足打法だったが、東南アジアや北米、欧州事業が伸長し、安定的に成長できる体制が整ってきた」と言う。

海外のアパレル大手の業績は明暗が分かれている。「ZARA」を手掛けるスペインのインディテックスは23年2〜4月期の純利益が5割増。季節商品の入れ替えのたびにコストの価格転嫁を進めてきた。一方、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の23年3〜5月期の純利益は販管費や仕入れコストがかさみ1割減った。

ファストリが同日発表した22年9月〜23年5月期の連結決算は、売上収益が前年同期比21%増の2兆1435億円、純利益は前年同期比0.3%増の2385億円と、いずれも過去最高だった。

3月に国内従業員の年収を最大約40%引き上げる賃上げの実施が同期間の国内ユニクロ事業の利益を圧迫した。それでも岡崎氏は「報酬は個々人の成長意欲や成果に報いるようにしたい」と述べ、利益を従業員に還元する姿勢を強調した。

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