[夏の甲子園] 先輩引退で部員1人、野球未経験のサッカー部と剣道部監督が練習サポート…「本当にありがたい」

浅草・科学技術・深川…萩原聖翔選手(浅草3年) 夏の全国高校野球大会の東・西東京大会は15日、3回戦計21試合が行われた。東大会は、シード校の帝京、関東一、修徳が初戦を突破。選手11人の桜修館も4回戦に駒を進めた。西大会は、春の都大会8強の創価が都立の実力校・片倉を下したほか、国学院久我山がコールド勝ちを収めた。16日は、東西で3回戦計15試合が予定されている。 久我山序盤で主導権…西東京大会 ▽桜修館5―4浅草・科学技術・深川 初回無死二塁。いきなりのチャンスに、「真っすぐが来たら打つ」と心を決めた。外角の直球を逆らわずに右方向に打ち返し、幸先良く先制点を挙げた。1回無死3塁、先制の適時打を放った浅草・科学技術・深川の萩原聖翔(15日、都営駒沢球場で)=大金史典撮影 小学1年生から野球を始めた。中学でも野球を続けたが、1年生の秋に体調を崩し、朝起きられなくなった。学校にも行けず、ふさぎ込む日々。そんな時に支えとなったのが、父の由郎さん(55)だった。「お前は良いやつだよ」「面白いよな」。友人のように話しかけてくれる言葉に、気持ちがほぐれた。  中学卒業後も症状は改善せず、浅草の定時制に進学した。野球部に所属し、午後からの授業を受けた後は、グラウンドで3年生2人と白球を追った。だが、夏に3年生が引退してしまった。 練習相手がおらず、一人で黙々と素振りをしていると、サッカー部と剣道部の監督がサポートを申し出てくれた。2人とも野球は未経験で、ノックでは空振りすることの方が多かったが、誰かとする練習は楽しかった。「野球ができる環境を作ってくれて本当にありがたい」と感謝する。浅草の岡野友彦監督(34)は「萩原は情熱を持って、ひたすら努力を続けてきた」と話す。  連合チームで臨んだ今大会は、初戦で公式戦初の3点ランニング本塁打を打つなど活躍。この日も、仲間の長打の間に一塁から本塁まで激走し、生還するなど気迫のこもったプレーを見せた。スタンドで見守った母・ 朗子(あきこ) さん(51)は「試合前夜に『絶対に勝てる』と、初めて前向きな言葉を聞かせてくれた。野球を続けてくれていて良かった」と目を赤くした。  「支えてくれた人たちに、恩返しができたかな」。日焼けした顔で、照れたように語った。(井上勇人)部員1人重ねた努力/ 

A person who loves writing, loves novels, and loves life.Seeking objective truth, hoping for world peace, and wishing for a world without wars.
[夏の甲子園] 先輩引退で部員1人、野球未経験のサッカー部と剣道部監督が練習サポート…「本当にありがたい」

浅草・科学技術・深川…萩原聖翔選手(浅草3年)

 夏の全国高校野球大会の東・西東京大会は15日、3回戦計21試合が行われた。東大会は、シード校の帝京、関東一、修徳が初戦を突破。選手11人の桜修館も4回戦に駒を進めた。西大会は、春の都大会8強の創価が都立の実力校・片倉を下したほか、国学院久我山がコールド勝ちを収めた。16日は、東西で3回戦計15試合が予定されている。

久我山序盤で主導権…西東京大会

▽桜修館5―4浅草・科学技術・深川

 初回無死二塁。いきなりのチャンスに、「真っすぐが来たら打つ」と心を決めた。外角の直球を逆らわずに右方向に打ち返し、幸先良く先制点を挙げた。

1回無死3塁、先制の適時打を放った浅草・科学技術・深川の萩原聖翔(15日、都営駒沢球場で)=大金史典撮影
1回無死3塁、先制の適時打を放った浅草・科学技術・深川の萩原聖翔(15日、都営駒沢球場で)=大金史典撮影

 小学1年生から野球を始めた。中学でも野球を続けたが、1年生の秋に体調を崩し、朝起きられなくなった。学校にも行けず、ふさぎ込む日々。そんな時に支えとなったのが、父の由郎さん(55)だった。「お前は良いやつだよ」「面白いよな」。友人のように話しかけてくれる言葉に、気持ちがほぐれた。

 中学卒業後も症状は改善せず、浅草の定時制に進学した。野球部に所属し、午後からの授業を受けた後は、グラウンドで3年生2人と白球を追った。だが、夏に3年生が引退してしまった。

 練習相手がおらず、一人で黙々と素振りをしていると、サッカー部と剣道部の監督がサポートを申し出てくれた。2人とも野球は未経験で、ノックでは空振りすることの方が多かったが、誰かとする練習は楽しかった。「野球ができる環境を作ってくれて本当にありがたい」と感謝する。浅草の岡野友彦監督(34)は「萩原は情熱を持って、ひたすら努力を続けてきた」と話す。

 連合チームで臨んだ今大会は、初戦で公式戦初の3点ランニング本塁打を打つなど活躍。この日も、仲間の長打の間に一塁から本塁まで激走し、生還するなど気迫のこもったプレーを見せた。スタンドで見守った母・ 朗子あきこ さん(51)は「試合前夜に『絶対に勝てる』と、初めて前向きな言葉を聞かせてくれた。野球を続けてくれていて良かった」と目を赤くした。

 「支えてくれた人たちに、恩返しができたかな」。日焼けした顔で、照れたように語った。(井上勇人)

部員1人重ねた努力/

 

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