紫外線防止、理解進む サングラスで運転手「仕事質向上」

サングラスを着用した「両備ホールディングス」のバス運転手(8月、岡山市)=同社提供(共同)日差しを受けながら働く運転手や道路のパトロール隊、警察官らに、サングラス着用を認める動きが広がっている。紫外線による目の健康被害防止が目的。国内では業務中の着用になじみが薄く「威圧感がある」との懸念が聞かれる一方、理解も進んでおり、従事者からは「仕事の質が上がる」と評価する声も出ている。首都高速道路の交通管理を担う「首都高パトロール」(東京都)は3月から、車で巡回する隊員にサングラスの貸与を始めた。隊員は落下物や路面の異変を発見するのが役割だが、時間帯によっては強い太陽光で見えづらくなる。サングラスを活用する木村昭博さん(37)は「視野を狭めることなくまぶしさが軽減され、パトロールの質が上がった」と語る。日本眼科医会の山本修士理事によると、強い紫外線に長時間、目がさらされると、角膜の細胞がはがれる「電気性眼炎」のほか、水晶体が混濁し視力が低下する「白内障」などのリスクが高まる。「日差しが強くなる季節は特に紫外線対策が必要だ」と説明する。岡山、広島両県でバス事業を営む「両備ホールディングス」(岡山市)は4〜5月、運転手にサングラスをかけてもらい、乗客に印象をアンケートする実証実験を行った。「良い」が55%、「どちらでもない」が42%で、問題ないとする意見が圧倒的だった。「安全確保のため積極的に行うべき」といった賛同する自由意見も多く寄せられ、「思った以上に理解があった」と担当者。8月から本格的に運転手の着用を認めた。首都高パトロールや両備ホールディングスが採用したのは、偏光レンズメーカー「タレックス」(大阪市)の製品で、本来の色彩をほぼ変えないまま、有害な光をカットし疲労を軽減する。JR西日本など約40社が採用し、検討中の企業は100社近くにまで増えた。山形県酒田市の警備会社「セキュリティ庄内」は2021年、警備に携わる社員にサングラスを支給した。夏の日差しだけではなく、雪の反射からも目を保護するのが狙いだった。ただ、印象の面で住民への配慮も必要ではないかとの外部の指摘を受け、紫外線を大幅に削減できるシールド付きのヘルメットも用意した。阿部学常務は「海外と異なり、サングラスに違和感を持たれるのは仕方ないが、イメージを払拭する努力を続けたい」。希望する社員にはサングラス着用も認めて

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紫外線防止、理解進む サングラスで運転手「仕事質向上」

日差しを受けながら働く運転手や道路のパトロール隊、警察官らに、サングラス着用を認める動きが広がっている。紫外線による目の健康被害防止が目的。国内では業務中の着用になじみが薄く「威圧感がある」との懸念が聞かれる一方、理解も進んでおり、従事者からは「仕事の質が上がる」と評価する声も出ている。

首都高速道路の交通管理を担う「首都高パトロール」(東京都)は3月から、車で巡回する隊員にサングラスの貸与を始めた。隊員は落下物や路面の異変を発見するのが役割だが、時間帯によっては強い太陽光で見えづらくなる。

サングラスを活用する木村昭博さん(37)は「視野を狭めることなくまぶしさが軽減され、パトロールの質が上がった」と語る。

日本眼科医会の山本修士理事によると、強い紫外線に長時間、目がさらされると、角膜の細胞がはがれる「電気性眼炎」のほか、水晶体が混濁し視力が低下する「白内障」などのリスクが高まる。「日差しが強くなる季節は特に紫外線対策が必要だ」と説明する。

岡山、広島両県でバス事業を営む「両備ホールディングス」(岡山市)は4〜5月、運転手にサングラスをかけてもらい、乗客に印象をアンケートする実証実験を行った。「良い」が55%、「どちらでもない」が42%で、問題ないとする意見が圧倒的だった。

「安全確保のため積極的に行うべき」といった賛同する自由意見も多く寄せられ、「思った以上に理解があった」と担当者。8月から本格的に運転手の着用を認めた。

首都高パトロールや両備ホールディングスが採用したのは、偏光レンズメーカー「タレックス」(大阪市)の製品で、本来の色彩をほぼ変えないまま、有害な光をカットし疲労を軽減する。JR西日本など約40社が採用し、検討中の企業は100社近くにまで増えた。

山形県酒田市の警備会社「セキュリティ庄内」は2021年、警備に携わる社員にサングラスを支給した。夏の日差しだけではなく、雪の反射からも目を保護するのが狙いだった。

ただ、印象の面で住民への配慮も必要ではないかとの外部の指摘を受け、紫外線を大幅に削減できるシールド付きのヘルメットも用意した。阿部学常務は「海外と異なり、サングラスに違和感を持たれるのは仕方ないが、イメージを払拭する努力を続けたい」。希望する社員にはサングラス着用も認めている。

富山県警は今年7月、交通部門の警察官に限り認めた。私物で、派手でないことを条件としている。富山以外の警察でも、白バイ隊員が所属長の許可を得て着けるケースはあるが、広く認めるのは珍しい。交通指導課の松崎憲治次席は「健康被害の予防のため、職務でのサングラス活用にご理解いただきたい」と話した。〔共同〕

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