[経済] 「1・5兆円以上かけデータセンター増やす」「光使う半導体開発、年間1000億円投資」…NTT・島田明社長

インタビューに応じるNTTの島田社長(東京都千代田区で)=黒瀬祐生撮影 職務内容を明確にした「ジョブ型」と呼ばれる働き方が広がっている。NTTは、主要なグループ会社でジョブ型の働き方を認めている。次世代通信基盤構想「IOWN(アイオン)」や、生成AI(人工知能)といった成長戦略について、島田明社長に話を聞いた。 「EVの普及加速、蓄えた知見生かし商機に」「必要に応じてM&Aも」…デンソー・林新之助社長 データ、加速度的に蓄積 ――5月に公表した新しい中期経営計画でアピールしたい点は。 「本当は全部なのだが、強調したいのは会社を成長させるということ。日本の経済は停滞していると言われる。成長してお金を稼いで、投資に向けられるような会社にしたい。成長投資を5年で1・5倍増やす。それぞれの事業会社が同じ意思を持って行動しなければ達成しない。各社の社長と真剣に話し合って中期計画を作った」 ――データセンター事業に注力するとしている。 「企業のデジタル化が進み、データに基づいて意思決定するデータドリブンの社会になれば、データが加速度的に蓄積される。今後5年間で1・5兆円以上をかけて、データセンターを増やす。最も増やす場所はインドで、2025年度までに現在の12か所から24か所程度に増やす。海外IT大手の進出や人口増など、潜在的な需要が見込まれるからだ。北米も14か所から23か所に増やしたい」 ――NTTは安定を求めるイメージがある。 「情報通信インフラを支えている企業グループだが、インフラを高度化させるのは非常に重要なこと。たとえば光回線は2000万を超える顧客がいる。モバイルも急激に伸びるような環境にはない。そのうえで、新しいサービスを築いていく段階にきている。展開するサービスを高度化させるという転換期にきている」 ――IOWNの実用化が進む。 「30年以降に、(電子の代わりに)光を使う半導体を開発したい。研究開発に年間1000億円を投資していく。手始めに、光を使った関連部品の製造を25年以降に始める予定だ。通信機器やサーバーに組み込むほか、より一般的な電子機器への応用も目指す。電力消費が圧倒的に少なくなるので、持続可能性の観点からも時代に合っている」ジョブ型導入、2割がスピード出世 ――課長級以上の管理職に対し、ジョブ型の働き方を導

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[経済] 「1・5兆円以上かけデータセンター増やす」「光使う半導体開発、年間1000億円投資」…NTT・島田明社長
インタビューに応じるNTTの島田社長(東京都千代田区で)=黒瀬祐生撮影
インタビューに応じるNTTの島田社長(東京都千代田区で)=黒瀬祐生撮影

 職務内容を明確にした「ジョブ型」と呼ばれる働き方が広がっている。NTTは、主要なグループ会社でジョブ型の働き方を認めている。次世代通信基盤構想「IOWN(アイオン)」や、生成AI(人工知能)といった成長戦略について、島田明社長に話を聞いた。

「EVの普及加速、蓄えた知見生かし商機に」「必要に応じてM&Aも」…デンソー・林新之助社長

データ、加速度的に蓄積

 ――5月に公表した新しい中期経営計画でアピールしたい点は。

 「本当は全部なのだが、強調したいのは会社を成長させるということ。日本の経済は停滞していると言われる。成長してお金を稼いで、投資に向けられるような会社にしたい。成長投資を5年で1・5倍増やす。それぞれの事業会社が同じ意思を持って行動しなければ達成しない。各社の社長と真剣に話し合って中期計画を作った」

 ――データセンター事業に注力するとしている。

 「企業のデジタル化が進み、データに基づいて意思決定するデータドリブンの社会になれば、データが加速度的に蓄積される。今後5年間で1・5兆円以上をかけて、データセンターを増やす。最も増やす場所はインドで、2025年度までに現在の12か所から24か所程度に増やす。海外IT大手の進出や人口増など、潜在的な需要が見込まれるからだ。北米も14か所から23か所に増やしたい」

 ――NTTは安定を求めるイメージがある。

 「情報通信インフラを支えている企業グループだが、インフラを高度化させるのは非常に重要なこと。たとえば光回線は2000万を超える顧客がいる。モバイルも急激に伸びるような環境にはない。そのうえで、新しいサービスを築いていく段階にきている。展開するサービスを高度化させるという転換期にきている」

 ――IOWNの実用化が進む。

 「30年以降に、(電子の代わりに)光を使う半導体を開発したい。研究開発に年間1000億円を投資していく。手始めに、光を使った関連部品の製造を25年以降に始める予定だ。通信機器やサーバーに組み込むほか、より一般的な電子機器への応用も目指す。電力消費が圧倒的に少なくなるので、持続可能性の観点からも時代に合っている」

ジョブ型導入、2割がスピード出世

 ――課長級以上の管理職に対し、ジョブ型の働き方を導入している。

 「かつての資格制度で2段階ランクが上がるなど、従来より早く昇格した人が、管理職全体の2割を占めるようになった。個人の能力に見合った給与水準を支払う処遇になりつつある。

 処遇の下がった人が意欲を失わずに、改めて成果を出せば、昇格できる仕組みが必要だ。欧米企業では、昇格か退職かの二択になりがちだが、終身雇用が一般的な日本ではそうはいかない。ポストから外された人への支援も考えたい」

 ――優秀な人材を獲得するため、海外子会社の福利厚生も充実させる。

 「国内の社員を対象に、在職中に死亡した場合、子供の教育費の一部を大学卒業まで支援する制度がある。これを海外にも拡大する。いざという時に会社が従業員をサポートする日本的な良さをグローバルに広めたい。NTTグループで働いて良かったという価値を上げていきたい」

  ◆島田明氏(しまだ・あきら)  1981年一橋大商卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。人事部門が長い。2020年6月、CHRO(最高人事責任者)に就任し、改革を進めた。22年6月からNTT社長。主要グループ会社の一部で原則、リモート勤務を導入した。好きな言葉は、「かけた情は水に流せ。受けた恩は石に刻め(刻石流水)」。東京都出身。

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