ハワイ・マウイ島山火事、米大統領が災害宣言 55人死亡

【ニューヨーク=大島有美子】米ハワイ州のマウイ島で8日に発生した大規模な山火事の被害が広がっている。地元当局によると10日までに55人の死亡が確認され、企業や家庭で1万件超の停電が発生した。バイデン米大統領はハワイ州に大規模災害宣言を出し、連邦政府として支援に入った。火災は完全に収束しておらず、バスや航空機を使った観光客や住民の避難が続く。米NBCテレビによると1万1000人超が避難した。NBCがハワイ州緊急事態管理庁の話として伝えたところでは、マウイ島やハワイ島で6件の火災が発生している。バイデン大統領は10日、ハワイ州に対する大規模災害宣言を承認した。同州やマウイ郡に連邦政府が支援する。がれき除去や仮設住宅の設置、住宅修理のための補助金などを含む。「被害の大きさの査定は継続中」として支援額の規模は明らかにせず、追加の支援もあり得るとした。米国家安全保障会議（NSC）の戦略広報調整官は米CNNテレビの取材に対し、「連邦緊急事態管理局（FEMA）の職員を現地に配備している。できる限り鋭くこの事態に集中する」と述べた。水や食料などの避難物資も届けており、100人超の州兵も動員して対応にあたっている。マウイ郡によると、火災で270超の建造物が損傷した。かつてハワイ王国の首都だった主要都市ラハイナで壊滅的な被害が出ている。米連邦航空局（FAA）は10日、ラハイナ近辺の3地域に飛行制限を発令した。山火事の原因は特定されていないが、干ばつと強風が火災を急速な勢いで広げたことが指摘されている。米当局などの「干ばつモニター」によると、マウイ郡の一部は8日時点で、5段階評価で3番目の「深刻な干ばつ」状態にあった。全米の停電情報を追跡するウェブサイト「パワーアウテージ・ドット・US」によると、マウイ郡では米東部時間10日午後4時（日本時間11日午前5時）時点で、約1万1000世帯・企業が停電している。CNNが通信大手TモバイルUSの広報担当者の話として伝えたところによると、電源不足により一部の顧客で携帯電話が使えなくなる可能性があるという。同社は火災の状況をみつつ、ポータブル発電機の配備を急ぐ。【関連記事】・南国の楽園、一転火の海に　「何もかも失われた」・ハワイ・マウイ島山火事、死者36人に　1万人超退避・ハワイ・マウイ島の火災、名所のみ込む　衛星画像で鮮明