バスケ富樫と車いすテニス国枝さん対談 重圧の対処法は

元車いすテニス選手の国枝慎吾さん(左)とバスケ日本代表の富樫勇樹さん世界で戦うため、重圧に向き合うために大切なものは――。バスケットボール男子日本代表主将の富樫勇樹(千葉J)と車いすテニスでパラリンピック金メダル3個の国枝慎吾さんがこのほど対談した。国枝さんは1月の現役引退後、車いすバスケに挑戦。富樫は8月にワールドカップ(W杯)に臨む。チャレンジを続ける2人の対話は競技の垣根を越えて広がった。――5月のBリーグ決勝、千葉J―琉球の1戦目を現地で見ました。国枝「初観戦だったけどコンタクトがすごいし、ブースターの声がこんなにチームを支えるんだと感じた。テニスはどちらかというと静かなのですごく興奮した。富樫さんは(両軍最多の)31点を決めたようにボール運びやパス、自分で切り込んでのシュートなど全てできる。目で追ってしまうスターだった」――決勝は激闘の末、2戦2勝で琉球が制し、初優勝を果たしました。富樫「勝率などあらゆる記録を破って決勝まで進んだのですごく自信があった。連敗は想定していなかった。初戦では激しいコンタクトがあり、(序盤の)10点差を追うためにいつもの何倍も体力を使った。今シーズン一回もなかったダブルオーバータイム(再延長)まで入り、体力的にかなりきつかった」国枝「ベストマッチを見れたんですね。こないだ僕もテニスを2時間やった後に車いすバスケをしたらシュートが入らなかった」5月のBリーグ決勝第2戦で、琉球のクーリー(上)にマークされる千葉Jの富樫=共同富樫「全然違います。ノーマークで打てればいいけど(普通は)動きながら打つので。足の疲労でかなりシュートはブレる」――国枝さんはなぜ車いすバスケを。国枝「『スラムダンク』の世代で中3まで毎日3オン3をしていた。周りにチームがないからテニスを始めたけど、世界一になるまでバスケの方がうまいと思っていた(笑)。引退して何をやろうかと考え、バスケが浮かんだ。テニスはポイントが終わったら次のサーブを打つまで25秒間許される。この間をいかにコントロールするかのスポーツ。バスケは攻守の切り替えが激しい」富樫「国枝さんはバスケに置き換えるとNBA(米プロバスケットボール)のレブロン・ジェームズやステフィン・カリー。誰もが認める世界一なのは疑いようがない」――国枝さんはラケットに「俺は最強だ」の文字を貼っていた。国枝「テニスはメンタ

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バスケ富樫と車いすテニス国枝さん対談 重圧の対処法は

世界で戦うため、重圧に向き合うために大切なものは――。バスケットボール男子日本代表主将の富樫勇樹(千葉J)と車いすテニスでパラリンピック金メダル3個の国枝慎吾さんがこのほど対談した。国枝さんは1月の現役引退後、車いすバスケに挑戦。富樫は8月にワールドカップ(W杯)に臨む。チャレンジを続ける2人の対話は競技の垣根を越えて広がった。

――5月のBリーグ決勝、千葉J―琉球の1戦目を現地で見ました。

国枝「初観戦だったけどコンタクトがすごいし、ブースターの声がこんなにチームを支えるんだと感じた。テニスはどちらかというと静かなのですごく興奮した。富樫さんは(両軍最多の)31点を決めたようにボール運びやパス、自分で切り込んでのシュートなど全てできる。目で追ってしまうスターだった」

――決勝は激闘の末、2戦2勝で琉球が制し、初優勝を果たしました。

富樫「勝率などあらゆる記録を破って決勝まで進んだのですごく自信があった。連敗は想定していなかった。初戦では激しいコンタクトがあり、(序盤の)10点差を追うためにいつもの何倍も体力を使った。今シーズン一回もなかったダブルオーバータイム(再延長)まで入り、体力的にかなりきつかった」

国枝「ベストマッチを見れたんですね。こないだ僕もテニスを2時間やった後に車いすバスケをしたらシュートが入らなかった」

富樫「全然違います。ノーマークで打てればいいけど(普通は)動きながら打つので。足の疲労でかなりシュートはブレる」

――国枝さんはなぜ車いすバスケを。

国枝「『スラムダンク』の世代で中3まで毎日3オン3をしていた。周りにチームがないからテニスを始めたけど、世界一になるまでバスケの方がうまいと思っていた(笑)。引退して何をやろうかと考え、バスケが浮かんだ。テニスはポイントが終わったら次のサーブを打つまで25秒間許される。この間をいかにコントロールするかのスポーツ。バスケは攻守の切り替えが激しい」

富樫「国枝さんはバスケに置き換えるとNBA(米プロバスケットボール)のレブロン・ジェームズやステフィン・カリー。誰もが認める世界一なのは疑いようがない」

――国枝さんはラケットに「俺は最強だ」の文字を貼っていた。

国枝「テニスはメンタルスポーツ。ポイントを取られてもいかに強気で打てるか。ダブルフォールトをするかもと思うと本当にそうなる。俺が最強だと思って打つと、ちゃんとしたボールが打てる。25秒でどうメンタルを立て直すかに注力していた。バスケにそういう要素はありますか」

富樫「シュートを何本か外した後、次を躊躇(ちゅうちょ)すると徐々に入らなくなるのはある。僕は個人競技じゃなくて良かった。調子が悪くても周りに助けられて勝つことが多々ある」

国枝「僕は試合当日、誰ともしゃべらない。しゃべるたびに体力が1ゲージずつ減るみたいな」

富樫「バスケは違う。リラックスすることもあるし、試合前やフリースローで試合が止まったときも対戦相手と普通に会話する」

――W杯が日本とフィリピン、インドネシアで開かれます。

富樫「東京五輪が28歳の時で2年後にW杯。いい年齢で2つの大会が日本で開かれるのは幸せ。五輪は無観客だったけど多くの人が声で後押ししてくれるのが楽しみ。世界で結果を残せていないので一歩を踏み出せたらいい」

国枝「スポーツを人気にするには勝ち続けることと面白いと思ってもらうことが大事。そうでないと足を運んでもらえない。優勝目指して頑張ってもらいたいし観客が後押ししてくれると思う」

(聞き手は谷口誠)

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