モスクワで無人機攻撃相次ぐ １機はビルに衝突

モスクワでは無人機攻撃への警戒感が強まっている（23日、市中心部のビジネス街）=APロシアの首都モスクワへのドローン（無人機）攻撃が相次いでいる。ロシア国防省は23日未明、モスクワに3機の無人機が飛来し、撃墜したと発表した。国防省はウクライナ側による攻撃と主張した。ロシア国内での厭戦（えんせん）気分の醸成をはかる思惑とみられる。ロシア通信によると、クレムリン（大統領府）から西へ約5キロメートル離れた「モスクワ・シティ」と呼ばれるビジネス街のビルのガラスが損傷した。ロシア国防省によると、電子戦システムで制御不能になった無人機1機がビルに衝突したという。他に2機の無人機がモスクワ方面に飛来し、防空部隊が撃墜した。死傷者は出ていない。モスクワのシェレメチェボ空港など主要空港は一時的に航空機の発着を停止した。タス通信は少なくとも1機がモスクワ東部のニジニ・ノブゴロドに迂回したと伝えた。7月下旬にもモスクワ・シティのビルが損傷を受けるなど、モスクワに無人機の飛来が相次いでいる。モスクワ周辺でのドローン攻撃は8月18日から6日連続となった。ロシア紙RBK電子版は22日、ウクライナへの「特別軍事作戦」で副司令官を兼務していたロシア航空宇宙軍のセルゲイ・スロビキン総司令官が解任されたと伝えた。国防省での別の職務を担当するという。ロシア通信によると、同軍のアフザロフ大将が総司令官代行に指名されたという。スロビキン氏は民間軍事会社ワグネルが6月23〜24日に起こした反乱を事前に知っていたとされる。スロビキン氏は同月24日に「隊列を停止し、戻れというロシア大統領の命令に従うことが不可欠だ」と呼びかける動画が通信アプリで公開された後、公に姿を見せていなかった。同氏が拘束され軟禁状態になっているとの報道も一部では流れていた。同氏は2022年10月から23年1月までウクライナ軍事侵攻の統括司令官も務めた。ゲラシモフ参謀総長が新たに同職に任命された後も、ショイグ国防相やゲラシモフ氏を批判するワグネルとの連絡役を担っていたもようだ。ワグネルの戦闘員の多くは反乱終結後、受け入れ先のベラルーシに移動し同国軍部隊との共同訓練に取り組んでいる。