[ラグビーW杯] 「日本式特訓」で開花したNZ出身ディアンズ、君が代に涙…流通経大柏高経て「桜戦士」に

 ラグビーのワールドカップフランス大会で、日本は17日(日本時間18日)、イングランドに熱戦の末に敗れた。身長2メートル1、体重117キロの体で相手の突進を食い止めたのがワーナー・ディアンズ選手(21)。ニュージーランドから移り住み、日本で素質を開花させて「桜の戦士」へと成長した。(大井雅之) 「桜の戦士」にスタンドから大声援…リーチマイケル恩師「切り替えて頑張れ」と声かける 相手の突進を止めるワーナー・ディアンズ選手(17日、仏ニースで)=永井秀典撮影 父が日本のラグビーチームでコーチをすることになり、家族で来日したのは14歳の時。高校は父の意向でインターナショナルスクールから、強豪の流通経済大柏高(千葉)に進んだ。  入学式で1メートル90に迫る長身を目の当たりにした 相(あい) 亮太監督(42)は「間違いなく日本代表になる」と確信した。だが、グラウンドでのプレーは素人同然だった。  4歳で競技を始めたものの、本格的に取り組むのは初めて。ほかの部員の動きに全くついていけず、右往左往した。練習中に吐き、涙を流したこともあった。◎ 「体を自在に扱えるようにしよう」と相監督が取り入れたのが日本式のトレーニング。持久力や下半身の筋力を鍛えるため、部員の上を跳び越え、股の下をくぐる動きを繰り返した。 仲間に「この練習がどうラグビーにつながるの」とこぼしながらも黙々と取り組んだ。ひたむきな姿勢に加え、人にはない特技もあった。見たり、聞いたりしたことを再現する能力だ。 練習中は先輩の動きをじっと見つめ、すぐにマネした。入学時に話せなかった日本語は卒業する頃、生活に困らないほどになった。書道で筆を持たせれば手本を参考に器用に書き、書道展で入賞したこともある。◎ 飛躍のきっかけは身長が2メートルに達した2年の冬。全国大会で初の先発出場を告げられると、「一生懸命タックルし、相手にプレッシャーをかける」と誓った。 その言葉通り、猛烈なチャージで相手のキックを防ぎ、タックルで何度も相手を倒して会場をどよめかせた。自信をつけ、3年の最後の全国大会では2年連続8強入りに導いた。 その日に宣言した。「将来は日本を背負いたい」。2021年春に卒業して日本でプロ選手になると、秋には日本代表に選ばれた。 「流通経大柏高に行っていなかったら、今の自分はない。

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[ラグビーW杯] 「日本式特訓」で開花したNZ出身ディアンズ、君が代に涙…流通経大柏高経て「桜戦士」に

 ラグビーのワールドカップフランス大会で、日本は17日(日本時間18日)、イングランドに熱戦の末に敗れた。身長2メートル1、体重117キロの体で相手の突進を食い止めたのがワーナー・ディアンズ選手(21)。ニュージーランドから移り住み、日本で素質を開花させて「桜の戦士」へと成長した。(大井雅之)

「桜の戦士」にスタンドから大声援…リーチマイケル恩師「切り替えて頑張れ」と声かける
相手の突進を止めるワーナー・ディアンズ選手(17日、仏ニースで)=永井秀典撮影
相手の突進を止めるワーナー・ディアンズ選手(17日、仏ニースで)=永井秀典撮影

 父が日本のラグビーチームでコーチをすることになり、家族で来日したのは14歳の時。高校は父の意向でインターナショナルスクールから、強豪の流通経済大柏高(千葉)に進んだ。

 入学式で1メートル90に迫る長身を目の当たりにした あい 亮太監督(42)は「間違いなく日本代表になる」と確信した。だが、グラウンドでのプレーは素人同然だった。

 4歳で競技を始めたものの、本格的に取り組むのは初めて。ほかの部員の動きに全くついていけず、右往左往した。練習中に吐き、涙を流したこともあった。

 「体を自在に扱えるようにしよう」と相監督が取り入れたのが日本式のトレーニング。持久力や下半身の筋力を鍛えるため、部員の上を跳び越え、股の下をくぐる動きを繰り返した。

 仲間に「この練習がどうラグビーにつながるの」とこぼしながらも黙々と取り組んだ。ひたむきな姿勢に加え、人にはない特技もあった。見たり、聞いたりしたことを再現する能力だ。

 練習中は先輩の動きをじっと見つめ、すぐにマネした。入学時に話せなかった日本語は卒業する頃、生活に困らないほどになった。書道で筆を持たせれば手本を参考に器用に書き、書道展で入賞したこともある。

 飛躍のきっかけは身長が2メートルに達した2年の冬。全国大会で初の先発出場を告げられると、「一生懸命タックルし、相手にプレッシャーをかける」と誓った。

 その言葉通り、猛烈なチャージで相手のキックを防ぎ、タックルで何度も相手を倒して会場をどよめかせた。自信をつけ、3年の最後の全国大会では2年連続8強入りに導いた。

 その日に宣言した。「将来は日本を背負いたい」。2021年春に卒業して日本でプロ選手になると、秋には日本代表に選ばれた。

 「流通経大柏高に行っていなかったら、今の自分はない。色んな人に助けてもらい、桜ジャージーを着られてうれしい」

 幼い頃に憧れたニュージーランド代表「オールブラックス」ではなく、日本代表として臨んだ今大会。初戦のチリとの試合前、君が代が流れると涙ぐんだ男は、この日も後半に出場して献身的なプレーを見せた。次戦以降も、大きな体と日本で磨き上げた技術で世界に挑む。

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