「処理水放出完了まで福島とどまる」IAEAトップ

東京電力福島第1原子力発電所敷地内に並ぶ処理水の貯蔵タンク（6月17日）経済産業省は5日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り福島県内で地元関係者との意見交換会を開催した。漁業関係者らを中心に放出には反対の声がある。放出の安全性について報告書を公表した国際原子力機関（IAEA）のグロッシ事務局長も会合に参加し、地元の懸念に耳を傾ける姿勢を強調した。【関連記事】・原発処理水放出設備の検査、7日に合格へ　原子力規制委・韓国政府、福島第1原発の処理水放出「IAEA発表を尊重」グロッシ氏は「地元の皆さんの懸念や疑問をいっぺんに解決する魔法の杖はない。IAEAは処理水の最後の一滴が安全に放出できるまで、福島にとどまり、放出の状況を点検し続けることを約束する」と述べた。今後も地元が抱える懸念や疑問に応えていく姿勢を示した。政府は地元や周辺国に安全性を説明したうえで、8月にも放出することで調整する。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「我々が反対している中で、放出計画が進んでいるという緊張感を持ってほしい」と述べ、あらためて政府に慎重な対応を求めた。経産省の太田房江副大臣は「政府として処理水の海洋放出に向け、引き続き地元とのコミュニケーションを密にして、安全確保と風評対策に万全を期していく」と応じた。意見交換会は同県いわき市で開いた。経産省や東京電力ホールディングスの担当者らが、地元自治体の首長や県漁連などの関係者に、放出計画や風評被害対策を説明した。4日に「（放出計画が）国際的な安全基準に合致している」とする報告書を公表したIAEAのグロッシ氏も加わった。