[国際] ウクライナ、「グローバル・サウス」へ外交攻勢…穀物合意離脱のロシアに圧力強める狙い
【ニューデリー=浅野友美、ヨハネスブルク=笹子美奈子】ロシアが黒海経由でのウクライナ産の穀物輸出合意から離脱したことを受け、ウクライナがアフリカなど「グローバル・サウス」への積極外交を展開している。ロシアのウクライナ侵略に中立的な国の協力を取り付け、ロシアへの圧力を強めるのが狙いだ。エチオピアやパキスタンと接触イスラマバードでウクライナのクレバ外相(左)と握手するパキスタンのブット外相(20日)=パキスタン外務省報道官のツイッターから ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は20日、食料危機が懸念されているエチオピアのアビー・アハメド首相と初めて電話で会談した。ゼレンスキー氏は穀物輸出の再開への協力を求めた上で、「安全保障、デジタル化の分野でも関係を深めたい。アフリカ諸国と対話の土台を築く必要がある」と強調した。 ウクライナのドミトロ・クレバ外相は20日、パキスタンの首都イスラマバードで同国のビラワル・ブット外相と会談した。クレバ氏は、ロシアの合意離脱による穀物価格の上昇を踏まえ「最も苦しむのがアジア、アフリカの国々となることを残念に思う」と述べた。 ブット氏は「合意にロシアが復帰するかどうかは世界の発展途上国の関心事だ」と応じ、輸出再開に向けた要望をロシアや国連などに伝える意向を示した。パキスタン政府によると、ウクライナの閣僚の訪問は1993年の外交関係樹立後、初めてだ。 クレバ氏は21日、西アフリカのベナンの外相とも電話で会談し、協力を求めた。 ウクライナは世界有数の穀物輸出国で、主な輸出先にはグローバル・サウスと呼ばれるアジア、中南米、アフリカの新興・途上国が名を連ねる。食糧農業機関(FAO)の統計(2021年)によると、パキスタンは小麦輸入の約5割、エチオピアは約2割をウクライナに頼っている。 ウクライナ産穀物の輸出停止で大きな影響を被るグローバル・サウスの多くは欧米と中露の間でバランスを取り、ロシアのウクライナ侵略にも中立的な立場をとる。ウクライナとしては食料危機を訴えるとともに、ロシアから引き離す狙いもある。露「無償供与」で対抗 一方、ロシアはアフリカ諸国などへのロシア産穀物の無償供与の用意があると表明し、つなぎ留めを図っている。27日から露西部サンクトペテルブルクでロシア・アフリカ首脳会議を開き、プーチン大統領が支援策を打ち出すとみられ
【ニューデリー=浅野友美、ヨハネスブルク=笹子美奈子】ロシアが黒海経由でのウクライナ産の穀物輸出合意から離脱したことを受け、ウクライナがアフリカなど「グローバル・サウス」への積極外交を展開している。ロシアのウクライナ侵略に中立的な国の協力を取り付け、ロシアへの圧力を強めるのが狙いだ。
エチオピアやパキスタンと接触
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は20日、食料危機が懸念されているエチオピアのアビー・アハメド首相と初めて電話で会談した。ゼレンスキー氏は穀物輸出の再開への協力を求めた上で、「安全保障、デジタル化の分野でも関係を深めたい。アフリカ諸国と対話の土台を築く必要がある」と強調した。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は20日、パキスタンの首都イスラマバードで同国のビラワル・ブット外相と会談した。クレバ氏は、ロシアの合意離脱による穀物価格の上昇を踏まえ「最も苦しむのがアジア、アフリカの国々となることを残念に思う」と述べた。
ブット氏は「合意にロシアが復帰するかどうかは世界の発展途上国の関心事だ」と応じ、輸出再開に向けた要望をロシアや国連などに伝える意向を示した。パキスタン政府によると、ウクライナの閣僚の訪問は1993年の外交関係樹立後、初めてだ。
クレバ氏は21日、西アフリカのベナンの外相とも電話で会談し、協力を求めた。
ウクライナは世界有数の穀物輸出国で、主な輸出先にはグローバル・サウスと呼ばれるアジア、中南米、アフリカの新興・途上国が名を連ねる。食糧農業機関(FAO)の統計(2021年)によると、パキスタンは小麦輸入の約5割、エチオピアは約2割をウクライナに頼っている。
ウクライナ産穀物の輸出停止で大きな影響を被るグローバル・サウスの多くは欧米と中露の間でバランスを取り、ロシアのウクライナ侵略にも中立的な立場をとる。ウクライナとしては食料危機を訴えるとともに、ロシアから引き離す狙いもある。
露「無償供与」で対抗
一方、ロシアはアフリカ諸国などへのロシア産穀物の無償供与の用意があると表明し、つなぎ留めを図っている。27日から露西部サンクトペテルブルクでロシア・アフリカ首脳会議を開き、プーチン大統領が支援策を打ち出すとみられる。
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