[国際] 世界最強の防空システム「アイアン・ドーム」、イスラエルがウクライナへの提供拒む
【エルサレム=福島利之】米国からの再三の要求にもかかわらず、中東の軍事強国イスラエルは、世界で最も優れているとされる対空防衛システム「アイアン・ドーム」をロシアの侵略を受けるウクライナに提供することを拒んでいる。内戦が続く隣国シリアで制空権を握るロシアを刺激したくないとの思惑からだ。 建国以来、周辺のアラブ諸国と戦争を続けてきたイスラエルが何より自国の防衛を優先する姿勢が浮き彫りになっている。 ウクライナは不満を募らせている。在イスラエルのウクライナ大使館は6月28日、「ロシアは空爆し、我々の国民を殺害している。それなのに、イスラエルはウクライナに防衛装備品を売るのを依然として拒んでいる」とイスラエルを痛烈に批判する声明を出した。 前日の27日、ウクライナ東部ドネツク州の商業施設でロシア軍のミサイル攻撃により市民ら4人が死亡したことを受けた声明だ。アイアン・ドームや武器を提供しないイスラエルに対する「いら立ち」(地元記者)と受け止められている。 イスラエルでは2011年にアイアン・ドームが配備されて以来、イスラム主義組織ハマスが実効支配するガザのほか、レバノンやシリアから発射されるロケット弾を迎撃し、国民の命を守ってきた。昨年8月には、ガザから撃ち込まれたロケット弾470発のうち97%を迎撃した。その成果に目を付けたのがウクライナだった。 1 2
【エルサレム=福島利之】米国からの再三の要求にもかかわらず、中東の軍事強国イスラエルは、世界で最も優れているとされる対空防衛システム「アイアン・ドーム」をロシアの侵略を受けるウクライナに提供することを拒んでいる。内戦が続く隣国シリアで制空権を握るロシアを刺激したくないとの思惑からだ。
建国以来、周辺のアラブ諸国と戦争を続けてきたイスラエルが何より自国の防衛を優先する姿勢が浮き彫りになっている。
ウクライナは不満を募らせている。在イスラエルのウクライナ大使館は6月28日、「ロシアは空爆し、我々の国民を殺害している。それなのに、イスラエルはウクライナに防衛装備品を売るのを依然として拒んでいる」とイスラエルを痛烈に批判する声明を出した。
前日の27日、ウクライナ東部ドネツク州の商業施設でロシア軍のミサイル攻撃により市民ら4人が死亡したことを受けた声明だ。アイアン・ドームや武器を提供しないイスラエルに対する「いら立ち」(地元記者)と受け止められている。
イスラエルでは2011年にアイアン・ドームが配備されて以来、イスラム主義組織ハマスが実効支配するガザのほか、レバノンやシリアから発射されるロケット弾を迎撃し、国民の命を守ってきた。昨年8月には、ガザから撃ち込まれたロケット弾470発のうち97%を迎撃した。その成果に目を付けたのがウクライナだった。
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