[夏の甲子園] 「横浜倒し甲子園」目指した３年間…相洋・渡辺怜斗主将、新たな歴史刻むも夢かなわず

　夏の高校野球神奈川県大会は２１日、横浜スタジアムで準々決勝２試合が行われ、優勝候補対決となった相洋―横浜は３連覇を目指す横浜が制した。横浜商は日大藤沢との投手戦に競り勝ち、２５年ぶりの４強入りを決めた。２２、２３日は試合がなく、２４日に同球場で準決勝２試合が予定されている。 古豪・横浜商２５年ぶり４強、エース川又隆之介が粘りの投球…準決勝は「ＹＹ対決」 横浜５―０相洋全力悔いなし　渡辺怜斗主将（相洋３年）　５点ビハインドで迎えた八回。先頭で打席に立った。横浜を相手に５点を追う展開は厳しいが、諦めたりしない。追い込まれてからボールを見極めて四球で出塁し、ベンチにガッツポーズ。「チャンスを作れば何とかなる」。泥臭くつなぐ相洋の野球を体現してみせた。相洋の渡辺怜斗主将　いくつもの勧誘を受けて進路に迷った中学３年時、「横浜、東海大相模を倒して甲子園に行こう」という高橋伸明監督の言葉に心を動かされ、相洋の門をたたいた。相手が強いと見なされるなかで、中心となって勝つ。それでこそ「選手としての価値は高い」の言葉を信じた。 　主将になってからは、３番、捕手と重責を担い苦しさを感じたことも。横浜の緒方漣主将（３年）は少年野球チーム「オセアン横浜ヤング」時代のチームメート。「あいつがいるから」と練習に打ち込んだ。入学時からの自身の目標で、チームの悲願でもある「打倒横浜」だけを見つめてきた。　ついに、春の県大会準々決勝で緒方主将率いる横浜に４―３で勝利。関東大会でも選抜ベスト８の栃木・作新学院に逆転勝ち。相洋の歴史を新たに刻んだ自負はあるが、「夏に勝たなきゃ意味がない」と今大会に懸けてきた。　しかし敗戦。悲願は今年もかなわなかったが、「強いチームに束になって挑む大切さを実感できた」。横浜の緒方主将とは、対戦が終わるまで連絡を取り合わない約束だ。相手のミスにつけこんで粘り勝つのが相洋なのに、その隙すら見つけられなかった王者はさすがだとたたえたい。　それでも、自分の高校野球生活に悔いはない。「相洋を選んでよかった」（佐野真一）