[夏の甲子園] 王者・横浜が貫禄4強、3打点の萩宗久は闘病中の母へ恩返しの一発…母「活躍が薬代わり」

 夏の高校野球神奈川県大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝2試合が行われ、優勝候補対決となった相洋―横浜は3連覇を目指す横浜が制した。 「横浜倒し甲子園」目指した3年間…相洋・渡辺怜斗主将、新たな歴史刻むも夢かなわず 横浜5―0相洋 春の県大会準々決勝と同じ顔合わせになった、横浜と相洋の一戦。リベンジに燃える横浜は、2本の本塁打などで主導権をつかむと、エース杉山遥希投手(3年)が相洋打線を完封して、昨夏王者の貫禄を見せた。横浜―相洋 3回横浜1死1塁、緒方の適時2塁打で生還する峯(21日、横浜スタジアムで)=佐藤官弘撮影 横浜は二回無死一、二塁、萩宗久選手(3年)の中前打で先制。春は相洋が先制して主導権を握っただけに、村田浩明監督も「先手を取れたのは大きかった」と振り返る。三回一死一塁では、緒方漣主将(3年)の二塁打の間に一塁走者の峯大翔選手(2年)が間一髪で生還し、追加点を上げた。  その裏には二死一、二塁のピンチを背負うも、杉山投手が気迫のピッチングで相洋の「打線のキーマン」本多立幹選手(3年)を三振に仕留めた。守備の流れを生かした四回一死二塁では萩選手の左中間への2点本塁打でさらにペースを掌握した。 杉山投手は、最速147キロの直球などで相洋打線をねじ伏せると、緒方主将も好守でエースを支え、終盤も相洋に得点を与えなかった。八回先頭では、上田大誠選手(2年)が右翼席へたたき込む本塁打で試合を決定づけた。 相洋の渡辺怜斗主将(3年)は「実力は相手が上とわかっていた中で、力負けした。終盤に好守が出るなど諦めずに全員で束になって戦う姿勢は示せたので、相洋の野球はできたと思う」と振り返った。 緒方主将は「抽選が決まってから心の中で燃えていたので、勝ててうれしい。甲子園を託してくれた彼らの分まで頑張りたい。3連覇を目指して一戦必勝で戦う」と気を引き締めた。「母を甲子園へ連れていく」萩宗久選手(横浜3年) 2点リードの四回一死二塁。初球の内角寄り低めのスライダーを見逃さずにスイングした。打球は左方向に伸びていき、フェンスを越えた。4点と大きくリードを広げる一発。ベンチやスタンドの歓声にガッツポーズで応えた。横浜―相洋 4回横浜、本塁打を放った萩(21日午前10時39分、横浜市中区の横浜スタジアムで)=村松魁成撮影  長い不調に苦しん

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[夏の甲子園] 王者・横浜が貫禄4強、3打点の萩宗久は闘病中の母へ恩返しの一発…母「活躍が薬代わり」

 夏の高校野球神奈川県大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝2試合が行われ、優勝候補対決となった相洋―横浜は3連覇を目指す横浜が制した。

「横浜倒し甲子園」目指した3年間…相洋・渡辺怜斗主将、新たな歴史刻むも夢かなわず

横浜5―0相洋

 春の県大会準々決勝と同じ顔合わせになった、横浜と相洋の一戦。リベンジに燃える横浜は、2本の本塁打などで主導権をつかむと、エース杉山遥希投手(3年)が相洋打線を完封して、昨夏王者の貫禄を見せた。

横浜―相洋 3回横浜1死1塁、緒方の適時2塁打で生還する峯(21日、横浜スタジアムで)=佐藤官弘撮影
横浜―相洋 3回横浜1死1塁、緒方の適時2塁打で生還する峯(21日、横浜スタジアムで)=佐藤官弘撮影

 横浜は二回無死一、二塁、萩宗久選手(3年)の中前打で先制。春は相洋が先制して主導権を握っただけに、村田浩明監督も「先手を取れたのは大きかった」と振り返る。三回一死一塁では、緒方漣主将(3年)の二塁打の間に一塁走者の峯大翔選手(2年)が間一髪で生還し、追加点を上げた。

 その裏には二死一、二塁のピンチを背負うも、杉山投手が気迫のピッチングで相洋の「打線のキーマン」本多立幹選手(3年)を三振に仕留めた。守備の流れを生かした四回一死二塁では萩選手の左中間への2点本塁打でさらにペースを掌握した。

 杉山投手は、最速147キロの直球などで相洋打線をねじ伏せると、緒方主将も好守でエースを支え、終盤も相洋に得点を与えなかった。八回先頭では、上田大誠選手(2年)が右翼席へたたき込む本塁打で試合を決定づけた。

 相洋の渡辺怜斗主将(3年)は「実力は相手が上とわかっていた中で、力負けした。終盤に好守が出るなど諦めずに全員で束になって戦う姿勢は示せたので、相洋の野球はできたと思う」と振り返った。

 緒方主将は「抽選が決まってから心の中で燃えていたので、勝ててうれしい。甲子園を託してくれた彼らの分まで頑張りたい。3連覇を目指して一戦必勝で戦う」と気を引き締めた。

「母を甲子園へ連れていく」萩宗久選手(横浜3年)

 2点リードの四回一死二塁。初球の内角寄り低めのスライダーを見逃さずにスイングした。打球は左方向に伸びていき、フェンスを越えた。4点と大きくリードを広げる一発。ベンチやスタンドの歓声にガッツポーズで応えた。

横浜―相洋 4回横浜、本塁打を放った萩(21日午前10時39分、横浜市中区の横浜スタジアムで)=村松魁成撮影
横浜―相洋 4回横浜、本塁打を放った萩(21日午前10時39分、横浜市中区の横浜スタジアムで)=村松魁成撮影

 長い不調に苦しんだ。春の県大会で両足首の 靱帯じんたい を痛め、準々決勝の相洋戦で復帰したがチャンスの打席で遊飛に倒れた。チームは試合に敗れ、夏は第2シードで臨むことに。「自分が打っていれば勝てた」と責任を感じた。

 試合で結果を出すために努力を重ねた。原動力の一つが、故郷の岐阜県から応援してくれる母・美登里さん(52)の存在だ。自分が故郷を離れ横浜に入学した春、乳がんが見つかり、抗がん剤治療を続けている。「試合で結果を出して、母も元気づけたい」と誓い、寮の消灯後にも素振りをするなど自分が納得するまで取り組んできた。

 今大会ここまで振るわなかったが、相洋が相手のこの試合、先制打と2ランで3打点。春のリベンジの立役者となった。スタンドから見守った美登里さんは「息子の活躍が薬代わり」と笑顔を見せる。

 「ホームランボールは母にプレゼントする。甲子園に連れて行きたい」。チームの勝利と母への恩返しはまだ始まったばかりだ。(松岡妙佳)

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