岸田首相「複合的危機に直面」 ウクライナ侵攻など批判

米ニューヨークの空港に到着した岸田首相(19日)=共同【ニューヨーク=藤田祐樹】岸田文雄首相は19日夜(日本時間20日午前)、国連総会で一般討論演説に臨んだ。ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動など「複合的危機に直面している」と指摘した。「『人間の尊厳』に改めて光を当て、人間中心の国際協力を着実に進めていける」と提起した。首相は「分断・対立ではなく、協調に向けた世界を目指したい」と強調した。国連が機能不全に陥っているとの声を意識し、改めて国連を中核とする「強く実効的な多国間主義に改めてコミット(関与)しようではないか」と訴えた。体制や価値観の違いを乗り越えるために「人類全体で語れる共通の言葉が必要だ」と説いた。演説の中で「人間の尊厳」という言葉を10回以上使った。首相は「法の支配」の重要性に触れて「国際法と法の支配を蹂躙(じゅうりん)している」とロシアを名指しで非難した。「国連憲章違反、人権侵害の状況を一刻も早く是正し、核の威嚇を止めるべきだ」と要求した。具体的な国際協力の分野として最初に言及したのが、首相がライフワークとする「核軍縮」だ。足元ではロシアが核の使用をちらつかせ、対立を深める状況にある。首相は「核兵器のない世界に向けて、先人の努力により主流化した流れを確実に進める」と主張した。日本は唯一の被爆国として核を持たない一方、米国の「核の傘」のもとで抑止力を頼る状況にある。首相は「抑止か軍縮か、との二項対立的な議論を乗り越える」と語り、新たに30億円を投じて海外の研究機関やシンクタンクで核軍縮の議論を促すと表明した。昨年の総会に引き続き、国連改革の議論を深めるよう提起した。「世界は大きく変わっている。現在の世界を反映した安保理が必要だ」と力説した。アフリカの参加を支持したうえで「常任、非常任理事国双方の拡大が必要だ。具体的な行動に移る機会が今だ」と迫った。国連総会の一般討論演説は19日から始まった。首相の演説は就任後2回目だった。日本は2023年に主要7カ国(G7)の議長国を務め、国連の安全保障理事会でも非常任理事国として議論を主導する立場にある。

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岸田首相「複合的危機に直面」 ウクライナ侵攻など批判

【ニューヨーク=藤田祐樹】岸田文雄首相は19日夜(日本時間20日午前)、国連総会で一般討論演説に臨んだ。ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動など「複合的危機に直面している」と指摘した。「『人間の尊厳』に改めて光を当て、人間中心の国際協力を着実に進めていける」と提起した。

首相は「分断・対立ではなく、協調に向けた世界を目指したい」と強調した。国連が機能不全に陥っているとの声を意識し、改めて国連を中核とする「強く実効的な多国間主義に改めてコミット(関与)しようではないか」と訴えた。

体制や価値観の違いを乗り越えるために「人類全体で語れる共通の言葉が必要だ」と説いた。演説の中で「人間の尊厳」という言葉を10回以上使った。

首相は「法の支配」の重要性に触れて「国際法と法の支配を蹂躙(じゅうりん)している」とロシアを名指しで非難した。「国連憲章違反、人権侵害の状況を一刻も早く是正し、核の威嚇を止めるべきだ」と要求した。

具体的な国際協力の分野として最初に言及したのが、首相がライフワークとする「核軍縮」だ。

足元ではロシアが核の使用をちらつかせ、対立を深める状況にある。首相は「核兵器のない世界に向けて、先人の努力により主流化した流れを確実に進める」と主張した。

日本は唯一の被爆国として核を持たない一方、米国の「核の傘」のもとで抑止力を頼る状況にある。首相は「抑止か軍縮か、との二項対立的な議論を乗り越える」と語り、新たに30億円を投じて海外の研究機関やシンクタンクで核軍縮の議論を促すと表明した。

昨年の総会に引き続き、国連改革の議論を深めるよう提起した。「世界は大きく変わっている。現在の世界を反映した安保理が必要だ」と力説した。アフリカの参加を支持したうえで「常任、非常任理事国双方の拡大が必要だ。具体的な行動に移る機会が今だ」と迫った。

国連総会の一般討論演説は19日から始まった。首相の演説は就任後2回目だった。日本は2023年に主要7カ国(G7)の議長国を務め、国連の安全保障理事会でも非常任理事国として議論を主導する立場にある。

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