[社会] 「迷惑系」から「社会の敵」に…「炎上」求め違法行為
[情報偏食]第4部 混沌もたらす者たち<1> いかに人々の「アテンション(関心)」をつかみ、金に換えるか――。そのルールが支配する世界では、法令を無視した過激な動画を発信して、一線を踏み外すケースは少なくない。 過激動画で再生数稼ぎ、警告無視し「不適切」投稿 「動画の投稿では勢いが大事。自分の中の罪悪感は殺していた」と語るへずまりゅう氏(東京都豊島区で)=青木久雄撮影 その一人が、迷惑系ユーチューバーとして知られた「へずまりゅう」こと原田将大氏(32)だ。「山口県から来ました!」と大声をあげ、嫌がる人気ユーチューバーに「突撃」する迷惑動画で一躍有名になった。 動機は金だった。 地元の大学を卒業した後、交際していた女性の父親の連帯保証人になり、1000万円を超える借金を負った。返済に窮し、2017年、地元の高校や大学に忍び込み、スポーツ用品を盗んだとして逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。勤務先の鉄鋼会社は解雇された。 「ユーチューブで稼ぐしかない」。20年2月に上京し、再生回数が稼げる「炎上動画」に手を出した。執行猶予期間中で「何かあったら今度こそ刑務所に入る」と思っていたが、背に腹は代えられなかった。半年間で約50本の迷惑動画を投稿し、再生回数が100万回を超える「当たり」を連発した。 だが、再び転落する。愛知県岡崎市のスーパーで会計前の魚の切り身を食べる動画を撮影。被害届を受けた県警から同7月、窃盗容疑で再び逮捕された。 新型コロナウイルスにも感染しており、捜査にあたった警察官らにクラスターも発生させた。世間の目は「迷惑系」から、「社会の敵」に変わっていた。 逮捕から約2か月。留置施設に面会に来た、やつれ果てた母親を見て、これまでの行動を悔いた。「もう続けられない」 1 2
[情報偏食]第4部 混沌もたらす者たち<1>
いかに人々の「アテンション(関心)」をつかみ、金に換えるか――。そのルールが支配する世界では、法令を無視した過激な動画を発信して、一線を踏み外すケースは少なくない。
その一人が、迷惑系ユーチューバーとして知られた「へずまりゅう」こと原田将大氏(32)だ。「山口県から来ました!」と大声をあげ、嫌がる人気ユーチューバーに「突撃」する迷惑動画で一躍有名になった。
動機は金だった。
地元の大学を卒業した後、交際していた女性の父親の連帯保証人になり、1000万円を超える借金を負った。返済に窮し、2017年、地元の高校や大学に忍び込み、スポーツ用品を盗んだとして逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。勤務先の鉄鋼会社は解雇された。
「ユーチューブで稼ぐしかない」。20年2月に上京し、再生回数が稼げる「炎上動画」に手を出した。執行猶予期間中で「何かあったら今度こそ刑務所に入る」と思っていたが、背に腹は代えられなかった。半年間で約50本の迷惑動画を投稿し、再生回数が100万回を超える「当たり」を連発した。
だが、再び転落する。愛知県岡崎市のスーパーで会計前の魚の切り身を食べる動画を撮影。被害届を受けた県警から同7月、窃盗容疑で再び逮捕された。
新型コロナウイルスにも感染しており、捜査にあたった警察官らにクラスターも発生させた。世間の目は「迷惑系」から、「社会の敵」に変わっていた。
逮捕から約2か月。留置施設に面会に来た、やつれ果てた母親を見て、これまでの行動を悔いた。「もう続けられない」
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