[社説]流通業が好業績を続けるには

オフィス街や観光地に強いコンビニエンスストアの売り上げは順調に回復しているイオンやローソンなど大手小売業の2023年3〜5月期の連結決算で好業績が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が解除され、今後の消費動向を占う決算だが、まずは力強さを見せることになった。もっとも物価高に対して所得の伸びは鈍い。好業績を引き続き維持するには、柔軟な価格戦略や消費者ニーズにきめ細かく対応する商品戦略が求められる。イオンは営業利益が2年連続で過去最高益を更新した。消費者の外出が増え、スーパーと映画館など娯楽サービス事業がけん引した。スーパーの場合、割安感のあるプライベートブランド(PB)が消費者の節約志向を捉えた。コロナ下の巣ごもり需要で成長した食品スーパーも全体的には健闘している。ライフコーポレーションはPBや総菜・パンなどが好調で既存店売上高が伸び、純利益が2桁増だった。オフィス街や観光地に強いコンビニエンスストアも順調に回復。最大手のセブン―イレブン・ジャパンを傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスは海外コンビニの苦戦で全体の営業利益は20%減となったが、国内は好調だった。11年ぶりに1店舗当たりの売上高(全店平均日販)で過去最高を更新。ローソンも弁当や化粧品が好調で過去最高益を更新した。好業績の理由を見ると物価高の中、価格戦略が顧客から一定の支持を得ている。イオンのような低価格戦略が奏功しているケースもあれば、ファーストリテイリングやコンビニのように付加価値アップで値上げ浸透が進んだことも好結果につながった。もっとも3〜5月期は反動増の側面も強い。物価高は続く見通しで、所得改善には時間がかかる。好業績を続けるには消費者離れを招かない企業努力が必要だ。例えばスーパーは割安感と質を追求したPBを増やし、セブン&アイは低価格PBをそろえて価格幅を広げる。機動的な顧客対応力が好業績を続ける条件になる。

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[社説]流通業が好業績を続けるには

イオンローソンなど大手小売業の2023年3〜5月期の連結決算で好業績が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が解除され、今後の消費動向を占う決算だが、まずは力強さを見せることになった。

もっとも物価高に対して所得の伸びは鈍い。好業績を引き続き維持するには、柔軟な価格戦略や消費者ニーズにきめ細かく対応する商品戦略が求められる。

イオンは営業利益が2年連続で過去最高益を更新した。消費者の外出が増え、スーパーと映画館など娯楽サービス事業がけん引した。スーパーの場合、割安感のあるプライベートブランド(PB)が消費者の節約志向を捉えた。

コロナ下の巣ごもり需要で成長した食品スーパーも全体的には健闘している。ライフコーポレーションはPBや総菜・パンなどが好調で既存店売上高が伸び、純利益が2桁増だった。

オフィス街や観光地に強いコンビニエンスストアも順調に回復。最大手のセブン―イレブン・ジャパンを傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスは海外コンビニの苦戦で全体の営業利益は20%減となったが、国内は好調だった。

11年ぶりに1店舗当たりの売上高(全店平均日販)で過去最高を更新。ローソンも弁当や化粧品が好調で過去最高益を更新した。

好業績の理由を見ると物価高の中、価格戦略が顧客から一定の支持を得ている。イオンのような低価格戦略が奏功しているケースもあれば、ファーストリテイリングやコンビニのように付加価値アップで値上げ浸透が進んだことも好結果につながった。

もっとも3〜5月期は反動増の側面も強い。物価高は続く見通しで、所得改善には時間がかかる。好業績を続けるには消費者離れを招かない企業努力が必要だ。

例えばスーパーは割安感と質を追求したPBを増やし、セブン&アイは低価格PBをそろえて価格幅を広げる。機動的な顧客対応力が好業績を続ける条件になる。

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