[科学・IT] 体温超えの最高気温は「人体にとって想定外」…気温だけでなく「暑さ指数」で対策を

 各地で最高気温が40度に迫る「体温超え」が記録され、熱中症のリスクが高まっている。専門家は「ここまでの暑さは人体にとって想定外。健康な大人でも危険だ」と警鐘を鳴らす。都内では連日35度を超える猛暑を観測している(28日午前11時、東京都千代田区で) 猛暑は、人の体にどう影響するのだろうか。「40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか」(DOJIN文庫)の筆者で、早稲田大の永島計教授(環境生理学)は「『体温超え』に至らなくても、熱中症のリスクは33度位から急激に高まる。気温と湿度が高くなれば、ますます危険だ」と指摘する。 都内では最高気温が35度を超える猛暑が続いている(28日正午、東京都千代田区で) 永島教授によると、人には、脳や心臓などの臓器を守るために、体の中心部を37度前後に保つ仕組みが備わっている。暑い夏は、皮膚の血管を拡張させて熱を逃がしたり、汗が蒸発する際の気化熱で体を冷やしたりする。しかし、気温があまりに高いと、むしろ熱が体に取り込まれてしまう。 永島教授は「湿度の高い日本では、せっかく汗をかいても、うまく蒸発しない。汗が皮膚表面にへばりつくような状態でとどまると、効率良く熱を逃すことができない」と説明する。 熱中症は脱水症状から始まり、体温が高い状態が続くと、神経や臓器に障害を引き起こして命にかかわることもある。子供や高齢者は体温調節の機能が弱いため、一層の注意が必要だ。 熱中症リスクの評価に有効とされているのが、気温や湿度、日射などから危険度を数値化した「暑さ指数(WBGT)」。環境省が、同省のウィブサイトを通じて発表している。 永島教授は「気温だけで判断せず、暑さ指標を参考に、リスクの高い日は屋外の活動を減らしてほしい。室内でも直射日光にあたって熱中症になるケースがあるので、エアコンを利用し、汗の量に見合った水分の補給を心がけてほしい」と呼びかけている。

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[科学・IT] 体温超えの最高気温は「人体にとって想定外」…気温だけでなく「暑さ指数」で対策を

 各地で最高気温が40度に迫る「体温超え」が記録され、熱中症のリスクが高まっている。専門家は「ここまでの暑さは人体にとって想定外。健康な大人でも危険だ」と警鐘を鳴らす。

都内では連日35度を超える猛暑を観測している(28日午前11時、東京都千代田区で)
都内では連日35度を超える猛暑を観測している(28日午前11時、東京都千代田区で)

 猛暑は、人の体にどう影響するのだろうか。「40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか」(DOJIN文庫)の筆者で、早稲田大の永島計教授(環境生理学)は「『体温超え』に至らなくても、熱中症のリスクは33度位から急激に高まる。気温と湿度が高くなれば、ますます危険だ」と指摘する。

都内では最高気温が35度を超える猛暑が続いている(28日正午、東京都千代田区で)
都内では最高気温が35度を超える猛暑が続いている(28日正午、東京都千代田区で)

 永島教授によると、人には、脳や心臓などの臓器を守るために、体の中心部を37度前後に保つ仕組みが備わっている。暑い夏は、皮膚の血管を拡張させて熱を逃がしたり、汗が蒸発する際の気化熱で体を冷やしたりする。しかし、気温があまりに高いと、むしろ熱が体に取り込まれてしまう。

 永島教授は「湿度の高い日本では、せっかく汗をかいても、うまく蒸発しない。汗が皮膚表面にへばりつくような状態でとどまると、効率良く熱を逃すことができない」と説明する。

 熱中症は脱水症状から始まり、体温が高い状態が続くと、神経や臓器に障害を引き起こして命にかかわることもある。子供や高齢者は体温調節の機能が弱いため、一層の注意が必要だ。

 熱中症リスクの評価に有効とされているのが、気温や湿度、日射などから危険度を数値化した「暑さ指数(WBGT)」。環境省が、同省のウィブサイトを通じて発表している。

 永島教授は「気温だけで判断せず、暑さ指標を参考に、リスクの高い日は屋外の活動を減らしてほしい。室内でも直射日光にあたって熱中症になるケースがあるので、エアコンを利用し、汗の量に見合った水分の補給を心がけてほしい」と呼びかけている。

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