[竜王戦中継ブログ] 再びの長考で手にした角をガツン、匠が打って踏み込む<挑戦者決定三番勝負第1局・永瀬拓矢王座-伊藤匠六段>

髪に手をやる伊藤六段。長考して攻めの手を選んだ=リモートカメラで若杉和希撮影【永瀬王座-伊藤六段】の動く棋譜中継はこちら  控室では田中寅彦九段と本日の対局立会人を務める金沢孝史六段が継ぎ盤を挟んでいます。永瀬王座が角を出た第1図で▲6三角が成立するかどうか、駒を動かして検討していました。 攻め合いの終盤戦に突入、直線か曲線かの岐路に<挑戦者決定三番勝負第1局・永瀬拓矢王座-伊藤匠六段> 第1図 ▲6三角に後手が△同銀と応じるのは▲同歩成が金取りになります。したがって角を取るなら△6三同金ですが、以下▲同歩成に△7五歩が後手の狙っている反撃ではないかと見られています。以下▲7五同銀は△5八角▲6四飛に△8五角成が7五銀と6三との両取りとなり、先手が大変との評判です。 参考図 したがって△7五歩に先手は銀を逃げずと金を使うことになるのですが、自然な▲5三とは△7六歩▲6二飛成に△3三銀(参考図)と上がられてどうか。先手が▲5四とと銀を取ると△7五桂が厳しい反撃になることから、先手が▲6三角を放っても簡単には決まらないようです。 第2図 そういった検討をしていたところで、伊藤六段は1時間4分の考慮で▲6三角(第2図)と打ち込みました。まさに決断の一着で、伊藤六段は角を打ってからも前傾姿勢で盤上を見つめています。田中寅九段は「後手に△3三銀と上がられたらカベ銀を解消されてしまうので、先手は角を打つしかないという判断かもしれません」と解説しました。 対する永瀬王座は背筋を伸ばして高い位置から盤上を見ています。やがて正座からあぐらになって腰を落としているようでした。読売新聞観戦記の解説を担当する石井健太郎六段が控室を訪れ、検討に加わっています。激しくなる可能性が高く、検討陣の熱が高まっているところです。(琵琶)【永瀬王座-伊藤六段】の動く棋譜中継はこちら前の記事記事一覧へ次の記事◆読売新聞オンライン将棋担当が語る将棋界ここだけの話

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髪に手をやる伊藤六段。長考して攻めの手を選んだ=リモートカメラで若杉和希撮影

【永瀬王座-伊藤六段】の動く棋譜中継はこちら

 控室では田中寅彦九段と本日の対局立会人を務める金沢孝史六段が継ぎ盤を挟んでいます。永瀬王座が角を出た第1図で▲6三角が成立するかどうか、駒を動かして検討していました。

攻め合いの終盤戦に突入、直線か曲線かの岐路に<挑戦者決定三番勝負第1局・永瀬拓矢王座-伊藤匠六段>
第1図

 ▲6三角に後手が△同銀と応じるのは▲同歩成が金取りになります。したがって角を取るなら△6三同金ですが、以下▲同歩成に△7五歩が後手の狙っている反撃ではないかと見られています。以下▲7五同銀は△5八角▲6四飛に△8五角成が7五銀と6三との両取りとなり、先手が大変との評判です。

参考図

 したがって△7五歩に先手は銀を逃げずと金を使うことになるのですが、自然な▲5三とは△7六歩▲6二飛成に△3三銀(参考図)と上がられてどうか。先手が▲5四とと銀を取ると△7五桂が厳しい反撃になることから、先手が▲6三角を放っても簡単には決まらないようです。

第2図

 そういった検討をしていたところで、伊藤六段は1時間4分の考慮で▲6三角(第2図)と打ち込みました。まさに決断の一着で、伊藤六段は角を打ってからも前傾姿勢で盤上を見つめています。田中寅九段は「後手に△3三銀と上がられたらカベ銀を解消されてしまうので、先手は角を打つしかないという判断かもしれません」と解説しました。

 対する永瀬王座は背筋を伸ばして高い位置から盤上を見ています。やがて正座からあぐらになって腰を落としているようでした。読売新聞観戦記の解説を担当する石井健太郎六段が控室を訪れ、検討に加わっています。激しくなる可能性が高く、検討陣の熱が高まっているところです。(琵琶)

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