[経済] 「若年層は資産形成商品にニーズ、シニア世代以外の取り込み目指す」…第一生命保険・隅野俊亮社長

インタビューに応じる第一生命保険の隅野俊亮社長(東京都千代田区で) 「NISA(少額投資非課税制度)」の投資枠拡大は、資産形成につながる金融商品を扱う生命保険業界にとっても追い風となる。営業職員のスキルアップにどう取り組むか。第一生命保険の隅野俊亮社長に戦略を聞いた。 「顧客資産を増やす商品を正しく提供、そのために社員のレベルアップ図る」…みずほ証券・浜本吉郎社長 顧客のツボにはまる商品拡充 ――決算を振り返って。 「コロナ禍の3年間に加え、元営業職員の不正もあった。経営品質を改善するために、現場に負荷をかけ、営業的には抑制的な運営をしてきた。そのため、新契約の年換算保険料は、4割近く減った。営業成績の低迷は会社としても重く受け止めている。これからは強く反転していくことが必要だ。今年度からは、営業推進の取り組みにかじを切っている」 ――営業推進に向けて、取り組んでいることは。 「今までは一人一人の職員が自分の中で目標を持っていたが、組織として営業目標を設定して、職員と共通認識を持って取り組んでいく。3か月単位で目標を設定し、少し長い時間軸でみていく。目標を持つことが、営業職員の活動の源泉になっていくだろう。 新たな顧客接点づくりにも取り組んでいる。少子高齢化によって、顧客をいかに取り込むかは非常に大事になっている。ペット保険や自転車保険、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。ニーズが多様化する中で、わかりやすく顧客のツボにはまる資産形成商品を拡充している」投資信託提案、新たな社内資格 ――資産形成の販売を強化している。 「投資信託やイデコの提案ができる新たな社内資格を設け、社員を徹底的に研修し、ノウハウを蓄積している。今年度は400人ほど育成し、2025年度末までに1700人に増やしていく予定だ。 若年層には、伝統的なパッケージ型の保障型の生命保険はヒットしない。将来の公的年金の支給に不安を抱えており、自助で資産を積み上げていく資産形成商品はニーズがある。既存の顧客層であるシニア世代だけでなく、手が届かなかった若年層も取り込みたい」 ――営業職員の離職率の高さが引き続き課題になっている。 「質の高い営業職員を採用する適性検査を導入したり、採用数を厳選したり、従来では考えられない仕組みにした。入社後5年間の給与を安定化し

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[経済] 「若年層は資産形成商品にニーズ、シニア世代以外の取り込み目指す」…第一生命保険・隅野俊亮社長
インタビューに応じる第一生命保険の隅野俊亮社長(東京都千代田区で)
インタビューに応じる第一生命保険の隅野俊亮社長(東京都千代田区で)

 「NISA(少額投資非課税制度)」の投資枠拡大は、資産形成につながる金融商品を扱う生命保険業界にとっても追い風となる。営業職員のスキルアップにどう取り組むか。第一生命保険の隅野俊亮社長に戦略を聞いた。

「顧客資産を増やす商品を正しく提供、そのために社員のレベルアップ図る」…みずほ証券・浜本吉郎社長

顧客のツボにはまる商品拡充

 ――決算を振り返って。

 「コロナ禍の3年間に加え、元営業職員の不正もあった。経営品質を改善するために、現場に負荷をかけ、営業的には抑制的な運営をしてきた。そのため、新契約の年換算保険料は、4割近く減った。営業成績の低迷は会社としても重く受け止めている。これからは強く反転していくことが必要だ。今年度からは、営業推進の取り組みにかじを切っている」

 ――営業推進に向けて、取り組んでいることは。

 「今までは一人一人の職員が自分の中で目標を持っていたが、組織として営業目標を設定して、職員と共通認識を持って取り組んでいく。3か月単位で目標を設定し、少し長い時間軸でみていく。目標を持つことが、営業職員の活動の源泉になっていくだろう。

 新たな顧客接点づくりにも取り組んでいる。少子高齢化によって、顧客をいかに取り込むかは非常に大事になっている。ペット保険や自転車保険、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。ニーズが多様化する中で、わかりやすく顧客のツボにはまる資産形成商品を拡充している」

投資信託提案、新たな社内資格

 ――資産形成の販売を強化している。

 「投資信託やイデコの提案ができる新たな社内資格を設け、社員を徹底的に研修し、ノウハウを蓄積している。今年度は400人ほど育成し、2025年度末までに1700人に増やしていく予定だ。

 若年層には、伝統的なパッケージ型の保障型の生命保険はヒットしない。将来の公的年金の支給に不安を抱えており、自助で資産を積み上げていく資産形成商品はニーズがある。既存の顧客層であるシニア世代だけでなく、手が届かなかった若年層も取り込みたい」

 ――営業職員の離職率の高さが引き続き課題になっている。

 「質の高い営業職員を採用する適性検査を導入したり、採用数を厳選したり、従来では考えられない仕組みにした。入社後5年間の給与を安定化して、最初の1年間は本気で勉強させる。商品だけでなく、社会保障制度も理解して商品を提案する教育を徹底している。従来は1年後の在籍率は8割程度だったが、新しい制度にしてからは、9割程度に改善した。5年経過後の在籍率5割を目指したい」

  ◆隅野俊亮氏 (すみの・としあき) 1992年東大法卒、第一生命保険入社。経営企画部長や持ち株会社の第一生命ホールディングス執行役員北米事業本部長、取締役常務執行役員などを経て、2023年4月から第一生命社長。千葉県出身。

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