あなたのWILLは何ですか?実現に向け何をしますか?

わが社の創立は1936年(昭和11年)。日本特殊陶業は、日本碍子(日本ガイシ)のスパークプラグ部門を分離して設立されました。それから80年以上、「NGKスパークプラグ」は一貫して主力製品となっています。自動車エンジンなどの内燃機関でガソリンと空気の混合気に点火するライターの役目をする装置ですが、その基本原理は何一つ変わっていません。要はセラミックと金属をくっつけ、エンジンの中にその頭の部分を出して火花を飛ばすこと。性能を向上させるため、改良を繰り返し、技術を蓄積し、極めていくという歴史を積み重ねています。「NGKスパークプラグ」は商品ブランド名であるとともに英文社名でもありました。商品ブランドが社名になるということは、商品自体の訴求力がそれだけ強かったからといえるかもしれません。世界的なモータリゼーションに合わせて需要は国内だけでなく海外にも広がっていき、右肩上がりの成長が続いてきました。そして、内燃機関ビジネスを基幹事業とする当社はEV(電気自動車)化に対し、10年以上前から会社を変えていく方向へ舵(かじ)を切っています。これまで連結売上高の約8割を占めている「内燃機関事業」と残りの2割を占めている「非内燃機関事業」の売上高比率が2030年に6:4、2040年に4:6となるように、半導体製造装置や燃料電池といった事業を次の柱に育てていくための長期経営計画を公表しました。その実現を目的に、21年にカンパニー制に移行、22年に新人事制度を導入したのに続き、さらに今年4月には英文社名を「Niterra」に変更しました。「Niterra」はラテン語の「niteo(輝く)」と「terra(地球)」を組み合わせた造語です。川合尊・日本特殊陶業社長長期計画遂行を目指して重視したのは、すべての社員に対する意識づけです。世の中が大きく変化していく中で、「今のまま立ち止まっていると世の中に置いて行かれる」「社会とかけ離れて成長できなくなる」といった危機意識は社内に浸透してきたように感じます。こうして根づいてきた変革への意識を行動に移すために必要なのが、私が折に触れて口にしてきた「WILL」です。何かをなし遂げるため、実現するために人々が持つ思考であり、この言葉にはパッション(情熱)や意志など、いろいろな意味合いが込められています。マザー・テレサがこんなことを言っています。「思考に気を

A person who loves writing, loves novels, and loves life.Seeking objective truth, hoping for world peace, and wishing for a world without wars.
あなたのWILLは何ですか?実現に向け何をしますか?

わが社の創立は1936年(昭和11年)。日本特殊陶業は、日本碍子(日本ガイシ)のスパークプラグ部門を分離して設立されました。

それから80年以上、「NGKスパークプラグ」は一貫して主力製品となっています。自動車エンジンなどの内燃機関でガソリンと空気の混合気に点火するライターの役目をする装置ですが、その基本原理は何一つ変わっていません。要はセラミックと金属をくっつけ、エンジンの中にその頭の部分を出して火花を飛ばすこと。性能を向上させるため、改良を繰り返し、技術を蓄積し、極めていくという歴史を積み重ねています。

「NGKスパークプラグ」は商品ブランド名であるとともに英文社名でもありました。商品ブランドが社名になるということは、商品自体の訴求力がそれだけ強かったからといえるかもしれません。

世界的なモータリゼーションに合わせて需要は国内だけでなく海外にも広がっていき、右肩上がりの成長が続いてきました。そして、内燃機関ビジネスを基幹事業とする当社はEV(電気自動車)化に対し、10年以上前から会社を変えていく方向へ舵(かじ)を切っています。

これまで連結売上高の約8割を占めている「内燃機関事業」と残りの2割を占めている「非内燃機関事業」の売上高比率が2030年に6:4、2040年に4:6となるように、半導体製造装置や燃料電池といった事業を次の柱に育てていくための長期経営計画を公表しました。その実現を目的に、21年にカンパニー制に移行、22年に新人事制度を導入したのに続き、さらに今年4月には英文社名を「Niterra」に変更しました。「Niterra」はラテン語の「niteo(輝く)」と「terra(地球)」を組み合わせた造語です。

長期計画遂行を目指して重視したのは、すべての社員に対する意識づけです。世の中が大きく変化していく中で、「今のまま立ち止まっていると世の中に置いて行かれる」「社会とかけ離れて成長できなくなる」といった危機意識は社内に浸透してきたように感じます。

こうして根づいてきた変革への意識を行動に移すために必要なのが、私が折に触れて口にしてきた「WILL」です。何かをなし遂げるため、実現するために人々が持つ思考であり、この言葉にはパッション(情熱)や意志など、いろいろな意味合いが込められています。

マザー・テレサがこんなことを言っています。「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから」「言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから」「行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから」「習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから」「性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」

WILLを持ち、よく考えて、言葉にしてみる。言葉は行動となり、習慣となって性格を変えていき、その結果、運命も変えられる。そんなことを気づかせてくれる言葉です。

あなたのWILLは何ですか? 実現に向け何をしますか? 読者の皆さんのたくさんの思いをお寄せください。お待ちしています。

川合尊・日本特殊陶業社長の課題に対するアイデアを募集します。
投稿はこちら(https://esf.nikkei.co.jp/mirai20230703/)から。

編集委員から

1936年(昭和11年)といえば陸軍青年将校らによるクーデター未遂、「二・二六事件」が起きた年。当時誕生した商品がブランドと共に現存することに驚く向きも少なくないはずです。それほど「NGKスパークプラグ」の商品力は群を抜いていたといえます。

その強さゆえに、カーボンニュートラルの未来が招く、事業ポートフォリオ(資産構成)の転換は難度が高い。2023年3月期連結業績は売上高5625億円、営業利益892億円でいずれも過去最高。前の期に比べ10%増え、662億円に達した純利益は2期連続の最高益更新となりました。「半導体不足が徐々に解消した自動車関連の需要回復と円安がプラスに働いた」と川合社長は説明しています。

脱炭素化で約8割を占める内燃機関事業がやがて半減するという、今はまだ「見えない危機」を幹部・社員に意識づけするのは容易ではありませんが、一方で走行中の電気自動車(EV)に道路から電力を送る無線給電システムなど新しい事業の芽も見えつつあります。同社の構造転換はこれからが本番です。(編集委員 安西巧)

◇   ◇

今回の課題は「あなたのWILLは何ですか?実現に向け何をしますか?」です。400字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは11日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、24日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/mirai/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。

What's Your Reaction?

like

dislike

love

funny

angry

sad

wow