サイバー攻撃で机上演習 元防衛相ら有事念頭に議論

民間シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」は15日から16日にかけて、台湾有事を想定した机上演習を実施した。2027年に中国軍が台湾に侵攻したと想定した。日本の安全保障政策に死角はないのか問題点を洗い出した。演習は22年に続いて3回目となる。政府が22年12月に国家安全保障戦略など安保関連3文書を策定して以来初となる本格的なシミュレーションだ。安保3文書の柱となる相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」やサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の発動などに際して課題をあぶり出すのが目的だ。想定として①中国軍による日台へのサイバー攻撃と沖縄県・尖閣諸島への漁民の上陸という「ハイブリッド戦」②米軍による後方支援要請と邦人退避への対応③日本への武力攻撃事態の発生――の3つのシナリオに基づいて課題を探った。15日は首相役や防衛相役などを設け、国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合を模して議論した。自民党の小野寺五典元防衛相や木原稔衆院議員、兼原信克・元内閣官房副長官補らが参加した。防衛相役の木原稔衆院議員は自衛隊トップの統合幕僚長役らと断続的に協議した(15日、東京・市谷)発信元が中国と特定しにくい状況で、サイバー攻撃を未然に防ぐために相手のシステムへアクセスする能動的サイバー防御をどの段階で実施するか話し合った。机上演習で日本が能動的サイバー防御を発動したのは日本の電力などの社会インフラがまひし、沖縄県・先島諸島の海底ケーブルが切断されるなど深刻な被害が出てからだった。中国漁船が尖閣諸島の岩場に乗り上げ、漁民が上陸した状況もシミュレーションした。拳銃を携行した中国海警局の職員が合流したとのシナリオだ。中国の組織的な武力行使とは断定できない状況で、首相役は安全保障関連法で定める他国からの攻撃が迫る「武力攻撃予測事態」の認定を決めた。日米首脳会談のシミュレーションで、首相役は「米第7艦隊を日本の主要な港に寄港させて中国に抑止力を働かせてほしい」と伝えた。米大統領役は米軍の日本国内での施設使用を認める日米安全保障条約6条の適用を求めた。邦人の退避方法を巡っては参加者で見解が分かれた。総務相役は中国による武力攻撃の可能性を認め、国民保護法で定める措置をとって先島諸島の住民などの保護の体制を強化すべきだと主張した。首相役は中国が武力を行使する前に名指しすれば反発を招き、中国

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サイバー攻撃で机上演習 元防衛相ら有事念頭に議論

民間シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」は15日から16日にかけて、台湾有事を想定した机上演習を実施した。2027年に中国軍が台湾に侵攻したと想定した。日本の安全保障政策に死角はないのか問題点を洗い出した。

演習は22年に続いて3回目となる。政府が22年12月に国家安全保障戦略など安保関連3文書を策定して以来初となる本格的なシミュレーションだ。

安保3文書の柱となる相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」やサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の発動などに際して課題をあぶり出すのが目的だ。

想定として①中国軍による日台へのサイバー攻撃と沖縄県・尖閣諸島への漁民の上陸という「ハイブリッド戦」②米軍による後方支援要請と邦人退避への対応③日本への武力攻撃事態の発生――の3つのシナリオに基づいて課題を探った。

15日は首相役や防衛相役などを設け、国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合を模して議論した。自民党の小野寺五典元防衛相や木原稔衆院議員、兼原信克・元内閣官房副長官補らが参加した。

発信元が中国と特定しにくい状況で、サイバー攻撃を未然に防ぐために相手のシステムへアクセスする能動的サイバー防御をどの段階で実施するか話し合った。

机上演習で日本が能動的サイバー防御を発動したのは日本の電力などの社会インフラがまひし、沖縄県・先島諸島の海底ケーブルが切断されるなど深刻な被害が出てからだった。

中国漁船が尖閣諸島の岩場に乗り上げ、漁民が上陸した状況もシミュレーションした。拳銃を携行した中国海警局の職員が合流したとのシナリオだ。

中国の組織的な武力行使とは断定できない状況で、首相役は安全保障関連法で定める他国からの攻撃が迫る「武力攻撃予測事態」の認定を決めた。

日米首脳会談のシミュレーションで、首相役は「米第7艦隊を日本の主要な港に寄港させて中国に抑止力を働かせてほしい」と伝えた。米大統領役は米軍の日本国内での施設使用を認める日米安全保障条約6条の適用を求めた。

邦人の退避方法を巡っては参加者で見解が分かれた。総務相役は中国による武力攻撃の可能性を認め、国民保護法で定める措置をとって先島諸島の住民などの保護の体制を強化すべきだと主張した。

首相役は中国が武力を行使する前に名指しすれば反発を招き、中国内の在留邦人の避難や安全に支障が出かねないと懸念した。

中国軍によって台湾周辺の海上交通路(シーレーン)の通航が妨げられた場合の対処方針も話し合った。

台湾を支援する米軍による日本国内の基地使用を巡っては、必要との認識で一致した。

16日の演習は反撃能力の意思決定プロセスを確認する。日本への弾道ミサイル攻撃の兆候を察知した場合に日米共同で反撃するのか、米政府と攻撃目標をどのように擦り合わせるのかなどをシミュレーションする。

中国政府が核兵器による報復をちらつかせた場合にどう対応するのかも議論する。

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