[社会] 部室にスパイス５０種常備・論文研究・米栽培も…「京大カレー部」あくなき探求

　京都大のサークル「京大カレー部」が、学外に活動の場を広げている。科学的な視点も加えて生み出したカレーを飲食店で売り出し、行列ができるほどの人気ぶりだ。府県境を越えた町おこしにも一役買っている。コロナ禍が落ち着き、取り組みを活発化させている。（岡田優香）３０分で完売３種のカレーを組み合わせた南インド料理「ミールス」（京都市左京区で）＝川崎公太撮影　２日午前、大学近くにある京都市左京区の喫茶店「ワールドコーヒー白川本店」に十数人が列を作った。部のＳＮＳによる告知などを通じて集まり、東京都や三重県から訪れた人もいた。 　店の２階を間借りしたスペースで提供されたのは、コリアンダーやカルダモンなどのスパイスを利かせたチキン、ナス、豆の３種のカレーに、パラパラとした食感のバスマティライスなどを盛りつけた南インド料理「ミールス」（税込み１３００円）。調理場では部員たちが味を確認しながら、鍋のルーを混ぜていた。喫茶店で出すオリジナルのカレーを盛りつける京大カレー部の部員たち（６月２５日、京都市左京区で）　３０分で７０食が完売。京都市内の会社員女性（４５）は「スパイスが本格的で、丁寧さが感じられる優しい味。学生の熱い思いが伝わる」と満足そうだ。 　同店に「出店」するようになったのは、２０２１年からだ。タウン誌で活動を知った運営会社営業部の坂本努さん（４７）が、コロナ禍で大学祭やイベントが中止になり、発表の場を失った部員たちを励まそうと声をかけた。学生たちが 厨房（ちゅうぼう） に入るのは半年に１回程度だが、繰り返し訪れるファンもいる。今年度は６月に続いて２回目。売り上げの一部は活動費に充てる。 　坂本さんは「料理を楽しみ、成長を感じられるのがうれしい」と目を細める。　薬学部４年の男性部員（２２）は「甘みや酸味、辛みなどのバランスを取り、口に入れる前に鼻で感じる香りと、入れた後に口から鼻に入る香りをどう組み合わせるかを意識した」と説明する。スパイス５０種　サークルは１０年に発足。当時は総合人間学部の学生数人だけで、カレーの食べ歩きが主な活動だった。その後、医学部や農学部などの学生も加わって創作に力を入れるようになった。今年度は新入部員が３５人も入り、過去最多の７１人に増えた。卒業生には、食品会社のカレー開発部署に配属された人もいるという。 1 2